2007年03月18日

『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』

翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった
金原 瑞人著
牧野出版 (2005.12)
通常2-3日以内に発送します。


 次になにを読もうか考えるときに、“つながり”で決めることがけっこうあります。三浦しをんのエッセイで紹介されていたヤング・アダルト小説の訳者が、本作の著者である金原瑞人です。
 そんなとっかかりで読み始めると、「赤木かんこ」という名前が出てきてさらに驚きました。最近、図書館で見て気になっていた本にあったのがこの名前。いつか読んでみたいと思っている、さまざまなお話をテーマ別に集めた児童書の選者だったのです。著者は大学時代から彼女と親交があったとか。本を読んでいて、こういう縁に出会うのは嬉しいものです。

 内容は、翻訳という仕事にまつわるお話と、外国語を日本語にうつしかえていく作業の中に起こることなど。ヤングアダルト小説の翻訳が多い著者だけに、文体もなじみやすい。20代の人が書いている文章と言われれば、そうですかと納得してしまいそうな、軽やかさで、読みやすくて楽しいエッセイでした。

 この訳者が翻訳したものなら、きっと面白いだろうから読んでみたくなる。海外作品をよく読むという方が、以前テレビでそんなことをおっしゃってましたが、その気持ち、この本を読んで分かったような気がしました。
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2007年03月04日

『天使』

『天使』(2005年・日本)
  監督:宮坂まゆみ
  出演:深田恭子、内田朝陽、永瀬正敏、永作博美


 劇場で予告を見て気になっていた作品を、レンタルで見てみました。

 天使の活躍で、みんなが幸せになるのかと思いきや、天使はただ思うがままにふんわり、ふわふわ漂っているだけ。ジントニックが好きで、かわいいものに興味しんしんで、天衣無縫、純真無垢そのまんま。猫のように、思いつくままふらりと姿を現しては、また消える。奇跡なんか起こさない天使が、ちょっと目新しくてかわいらしいの一言に尽きます。
 そして、その天使を演じる深田恭子が可愛いのなんの!!これがほんとうの姿ですと言われても納得してしまいそうなほど、はまり役でした。もし天使に会えるのなら、深キョンバージョンでお願いしたいほど。天使をこんなに自然に演じられる人は、そうそういないよね。

 そのほか、永瀬正敏や永作博美、売れっ子子役の森迫永依、泉谷しげる、鰐淵晴子などなど、出演陣もうまくて、地味にすら見える日常が淡々と描かれているところも、天使という非現実と対称的で面白いのですが、その彼らが暮らす町の景色がまたなんともいい色合いでした。
 東京が舞台ということですが、高層ビルや、きらきらしたネオンもなく、古びたアパートや、近代的とはいいがたい図書館、ありふれた保育園と、時代を感じさせる戸建ての家……そこここに、毎日息づく日常を見つめる目線にほっとさせられます。
 
 最後、家々の灯りでほんのり橙色になった雪景色がきれいに見えるのも、このふんわりとした作風のおかげなんでしょう。

 一時、ホラーやトラウマ物全盛だったころからすると、またこういった作品が邦画に多くなってきたのは嬉しいですね。 
 
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2007年02月28日

2月の本読み

オンライン書店ビーケーワン:娼年 オンライン書店ビーケーワン:大修院長ジュスティーヌ オンライン書店ビーケーワン:階段途中のビッグ・ノイズ オンライン書店ビーケーワン:乙女なげやり オンライン書店ビーケーワン:ぼくのいつか見た部屋 オンライン書店ビーケーワン:さよなら、スナフキン オンライン書店ビーケーワン:赤い竪琴 オンライン書店ビーケーワン:ロマンス小説の七日間 オンライン書店ビーケーワン:恋いちもんめ

『娼年』体を売るという行為を、やましさとは違う一面として見せることで、いやらしさを感じさせず、一種の成長物語に作り上げている手腕は、さすが石田衣良!
『大修院長ジュスティーヌ』がんじがらめに縛られた因習の中に、孤軍奮闘する三編の物語。
『階段途中のビッグ・ノイズ』途中、文の主体となる目線が不意に変わるところがあって、ちょっととまどうが、それを補ってあまりある瑞々しさ。あぁ、青春って眩しい。
『ぼくのいつか見た部屋』人の部屋というものに、すごーく興味あり。本に出てくるような気持ちのいい部屋にするには、まず掃除か……。
『乙女なげやり』先月読んだ『妄想炸裂』の表紙イラストは“はちクロ”の羽海野チカ、今度は“のだめ”の二ノ宮知子。豪華。もちろん、中身でもやっぱり大笑い。
『さよなら、スナフキン』限りなく後ろ向きの女性が、不器用にあがく姿がじれったくて、情けなくて。なんとか幸せをつかんでほしいと思うのに、まったくもって期待に応えてくれない、裏切られた感いっぱい。それでも、どうしても最後まで目が離せなくて、見届けずにはいられない。文庫本の表紙が、とっても美麗です。
『赤い竪琴』漂うような、男と女のつながりが、どうにものりきれず、水が合わないまま終わるかと思いきや、最後ですっと向こうから迫ってきてくれて、すっきりとして読了。
『ロマンス小説の七日間』現代の恋愛部分よりも、劇中どんどん“発展”していく浪漫小説の先行きが気になって、気になって。
『恋いちもんめ』ずっと昔、江戸という町に、いろんな人が今の私たちと同じようなことを考えながら暮らしていたんだろうな…そう、思える空気に酔った。
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2007年02月25日

『三四郎はそれから門を出た』

三四郎はそれから門を出た
三浦 しをん著
ポプラ社 (2006.7)
通常24時間以内に発送します。


 書評と本や読書にまつわるエッセイと、その他もろもろ。

 本好きを自称する作者だけに、本や漫画への思いに満ちあふれた言葉で、ぎっしりです。その思い入れたるや、軽い「好き」ではなく、もう生真面目さすら感じさせる「愛」でしかない文章が面々と続いていきます。これまで読んだ日常生活をつづったエッセイとは、ほんの少しまた違う趣き。その気迫に、本の中で紹介されている作品が、どれもこれも面白そうに見えてきます。

 そしてなによりおかしかったのが、電車の中などで他人が読んでいる本を推理するというくだり。
 確かに、ほかの人がいったいどんな本を読んでいるのかは、とっても気になります。が、ほとんどの人はブックカバーをつけているしね……と私などは、さっさとあきらめてしまうところを、著者は違うのです!カバーからちらりと見える文字や、しおりの有無、活字の書体などから出版社を推理し、さらにさらに何ページの一行目は「○○で、××は△△していた」という文章から始まることを見て覚えおき、速攻で本屋に行ってそれを探し当てるところまでやってしまうというのです!
 考えるだけじゃなくて、実際に行動し、あまつさえその本まで買って読んでしまうという。想像のラインというものがあったとして、彼女の行動はそのラインの遙か上をひらりと飛び越えてました。棒高跳びの世界記録が、一気に50センチくらい更新されたような感じでしょうか?
 もう、あっぱれ!の一言のみ。

 いや、本当に面白くて、面白くて、読み終わるのがもったいないほどでした。

 書評の中に、奥田英朗の『泳いで帰れ』、森福都の『琥珀枕』があって、ちょっと嬉しかったです♪
 
posted by あんく at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 ま〜わ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月24日

昨日の買い物

新編中学校社会科地図 〔2006〕初訂版
帝国書院編集部編
帝国書院 (2006.10)
通常2-3日以内に発送します。


 恥ずかしながら、地理というのがどうにも苦手です。方向音痴であることはもちろん、世界の国々がどこにどう位置しているのか、日本のあの名所が何県なのか、もっというなら自分が住んでいる広島県ですらどの道がどの地域に通じているのかさっぱり分からないのです。
 で、前々から欲しかったのが地図帳。中学校や、高校の時に持っていたあれです。
 さっそくぱらぱらとめくってみていろいろ発見。最近読んだ本で気になっていた旧ユーゴスラビアの位置と、それぞれ新しくなった国名を再確認したり、紀行文に出てきたキプロスの場所を調べたり、今までパキスタンだと思っていた場所にあるのがネパールだと分かったり……なかなか有意義です。これで、本やテレビに知らない地名が出てきても、さっと地図帳を取り出して見れば、頭の中のもやもやもすっきりするかな。

 しかし、今どきの地図帳は当時よりバージョンアップしてますね。地図のあちこちに、世界遺産だの、絶滅の恐れがある動物だの、歴史的なできごとの舞台だのまでが書き込まれているんです。それを見ているのだけでも楽しくて。少しは、地理に強くなれるでしょうか?
 
posted by あんく at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月06日

1月の本読み

オンライン書店ビーケーワン:アラミスと呼ばれた女 オンライン書店ビーケーワン:千の命 オンライン書店ビーケーワン:ぼくと1ルピーの神様 オンライン書店ビーケーワン:双子幻綺行 オンライン書店ビーケーワン:T.R.Y. オンライン書店ビーケーワン:さよなら妖精 オンライン書店ビーケーワン:日本語と中国語 オンライン書店ビーケーワン:妄想炸裂 オンライン書店ビーケーワン:クラブ・ポワブリエール オンライン書店ビーケーワン:真夜中の五分前 Side‐B オンライン書店ビーケーワン:殺人の四重奏 オンライン書店ビーケーワン:少年計数機

『アラミスと呼ばれた女』後半、年表を読んでいるような気分になった。宇江佐真理といえども、幕末物はちょっと苦手。
『千の命』産科の医術を極めた賀川玄悦という人の生涯にぐいぐい引き込まれた。男の一生を描きながらも、後に残る女たちの印象が鮮やか。
『ぼくと1ルピーの神様』過酷な人生に放り出された少年が、人と会い、物を見、夢をみられるようになるお話は、まさにドラマチック。
『双子幻綺行』対照的な双子が微笑ましいような、妖しいような。
『T.R.Y.』スカッとする騙しの手口を楽しむ作品だろうということは、一応分かった…。余談だが、“愛親覚羅”という中国皇帝の姓に“あいしんぎょろ”とふられたルビに違和感たっぷりだったけれど、調べてみると満州語ではこうなるらしい。ふーむ。
『さよなら妖精』米澤穂信の神髄はこういう哀しみかもしれない。妖精という幻想的なイメージからは思いつかない、お話の流れにたくさんのことを考えた。読み終わって、世界地図を見たくなる。
『日本語と中国語』言葉というのは面白い。
『妄想炸裂』笑った、笑った!三浦しをんのエッセイを、もっともっと貪り読みつくしたい。
『クラブ・ポワブリエール』森福作品の、読めば読むほど物語の軸が広がるような爽快感は、現代物でも健在。
『真夜中の五分前』流れるように読みやすい文章と、描きこまれた人物の存在感。丁寧な文の集まり。
『殺人の四重奏』中世、パリの光景が悪臭を放つような生々しさで迫ってくる。ときどき、むしょうに藤本ひとみのこの濃さが恋しくなる。
『少年計数機 池袋ウェストゲートパーク2』少年たちが、安易さではなく彼らなりの型を通そうともがいているからこそ、安心して読める。
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2007年01月27日

『黍の花ゆれる』

黍の花ゆれる
黍の花ゆれる
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1.27
植松 三十里著
講談社 (2005.6)
通常2-3日以内に発送します。


 幕末の激動の中、西郷隆盛は藩にかくまわれる形で奄美の地を踏んだ。そこで、島の愛加那という女性を“島妻”として迎え、薩摩に戻るまでの数年を過ごす。うちひしがれそうになる西郷を、妻として気丈に支え続けた女性の物語。

 歴史にとんと疎いので、西郷さんが奄美に暮らしたことも、その背景も知らないまま読んだおかげで、新鮮な驚きをもって読み終えました。あくまで小説ではありますが、愛加那という女性の目を通して見えたであろう西郷隆盛像にふれて、やっと彼が生身の人だったんだなという思いを感じたり。
 時代の渦に巻き込まれながらも一歩距離をおいたところで生きていた人々のほうが実は多かったんだと改めて気づくと、なんだかほっとしたような気分にすらなります。幕末のきな臭いイメージが少し、違うものに見えてくるような気もします。

 熱さや激しさはないけれど、筋の一本通った、意志の強さを感じさせる文はきりりと美しく、もっと多くの作品を書いてほしい作家さんです。

 余談ですが、本屋さんでぱらぱらと見た月刊誌に、平岩弓枝の『御宿かわせみ』シリーズがついに明治時代に突入とありました。文庫本になってから買い求めているので、もうしばらく明治時代はお預けでしょうが、いったいどんなふうになっているのか、気になります。神林東吾はなんとなく、彰義隊にでも入ってしまいそうだったので心配していたのですが、あの面々はどんなふうに幕末期を乗り越えていったんでしょう?あぁ、早く読みたい!

 
 
 

 
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2007年01月16日

今年も

 1ヵ月に1回更新は避けたいので、そろそろ始動したいと思いつつ、あっという間に1月も半ばが過ぎてしまいました。

 そこで、1月の年中行事をば。それは、いただいた年賀はがきの当選番号チェック。最近は便利なものもあるもので、番号を入力して当選をチェックするサイトにここ数年はお世話になっています。
 下二桁だけを入力すると、瞬時に「ハズレ」、「当たり」がチェックできる優れものサイトです。といっても、下二桁だけなので、何等が当たったかはすぐに分からないのですが。

 しかし、案の定というかなんというか、今年もただの1枚も当たりがありません。去年も、確か一昨年も、全滅だったような記憶が。切手シートすら当たらないなんて、くじ運のなさここに極まれり。
 それでも、やっぱり毎年、もしかして…などと淡い期待を抱いてしまうのです。
posted by あんく at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月31日

12月の本読み

オンライン書店ビーケーワン:安政五年の大脱走 オンライン書店ビーケーワン:ヴィンテージ・シックス オンライン書店ビーケーワン:ひとつ灯せ オンライン書店ビーケーワン:春期限定いちごタルト事件 オンライン書店ビーケーワン:夏期限定トロピカルパフェ事件 オンライン書店ビーケーワン:ボトルネック オンライン書店ビーケーワン:遠花火 オンライン書店ビーケーワン:泳いで帰れ オンライン書店ビーケーワン:過去から来た女 オンライン書店ビーケーワン:4TEEN オンライン書店ビーケーワン:旅行者の朝食 オンライン書店ビーケーワン:真夏の島に咲く花は オンライン書店ビーケーワン:HELP! オンライン書店ビーケーワン:FINE DAYS オンライン書店ビーケーワン:声だけが耳に残る オンライン書店ビーケーワン:波のうえの魔術師 オンライン書店ビーケーワン:放課後の音符(キイノート)

 11月辺りからなんやかやと忙しくなってしまい、師走に入ってさらに気持ちの上での気ぜわしさが加わって、こちらもあちらも全く更新できずじまいでした。そのぶん、たまったストレスは本読みで発散。というよりも、意地になって読みまくりました。

『安政五年の大脱走』不撓不屈の志と、信念のために一心不乱に突き進む強さに、心震えた。八方ふさがりなのに、どこかユーモラスですらある空気。生きてこそだな、なんて思った。
『ヴィンテージ・シックス』ワインがお話の鍵となる短編集。角田光代作品に出てきた、ハンガリーのトカイワインという貴腐ワインに興味津々。
『ひとつ灯せ』怪談とあったわりには、おどろおどろしさはなく一安心。しかし、後半はなんともやりきれない気分に。
『春季限定いちごタルト事件』小市民を目指す、高校生二人。徐々に二人の本性が現れ始めるあたりにわくわくした。
『夏季限定トロピカルパフェ事件』↑の続編。一作目に較べると、少し軽快さが減って、生々しくすらあった。しかし、でてくるデザートのおいしそうなことといったら…。空腹時には冷静に読めない。
『ボトルネック』うーむ、すごい!自己と他者や社会との距離感の表し方、それを言葉にする技量に感嘆。作品を通して、だれかに見透かされるような居心地の悪さすら感じるのに、やめられない。
『遠花火』何層にも重なるしかけが、奥行きを感じさせる物語は読み応えあり。
『泳いで帰れ』タイトルの意味が分かったとき、思わず笑った。そうか、そうだったのか!アテネ五輪、主に野球の観戦記。
『過去から来た女』昔好きだった作品を再読。やはり、面白い。
『4TEEN』14歳の4人の男の子のみずみずしさと、健気さが気持ちいい。懐かしいような、うらやましいような気持ちがこみあげる。
『旅行者の朝食』“ハルヴァ”という絶品のお菓子が登場する。食べたい、食べてみたい!!
『真夏の島に咲く花は』垣根作品にしては、中途半端。対峙しあうものの温度差がひしひしと伝わってくるのに、物足りない。
『HELP!』酪農という牧歌的なイメージをうまく使いながら、笑わせつつ、上手に裏切ってくれる。楽しい!
『FINE DAYS』恋というバラ色のイメージの中にある、小さな黒い点を思わせる恋愛短編。雪でもつもるように、静かに胸に余韻が残る。
『声だけが耳に残る』SMの描写から始まり驚くが、語られるものはかなりシビア。苦手なトラウマものかと思いきや、結着のつけ方に実直さがうかがえて印象良し。
『波のうえの魔術師』株のことがさっぱり分からず、雰囲気だけで読んでしまった。
『放課後の音符(キイノート)』初・山田詠美作品。想像していたよりも、ずっとずっと読みやすかった。
posted by あんく at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ○月の本読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月27日

11月の本読み

オンライン書店ビーケーワン:吃逆 オンライン書店ビーケーワン:天国はまだ遠く オンライン書店ビーケーワン:それでも私は旅に出る オンライン書店ビーケーワン:池袋ウエストゲートパーク オンライン書店ビーケーワン:狐弟子 オンライン書店ビーケーワン:紅豚 オンライン書店ビーケーワン:菊次郎とさき オンライン書店ビーケーワン:琥珀枕 オンライン書店ビーケーワン:氷菓 オンライン書店ビーケーワン:隣りの若草さん

『吃逆』吃逆=しゃっくりで幻を見る下級官吏が、その力を買われて探偵業に足を踏み入れるという、その発想が奇妙で楽しい。
『天国はまだ続く』まるっきりの田舎の風景と、得体の知れない田村という男の存在が、ページごとにしみいってくるような感覚は、いつもの瀬尾作品の味。初の文庫化で、速攻買いに走りました。
『それでも私は旅に出る』人はこんなふうに生きられるんだ…と、ため息。旅に出る気構えと、旅先での心得を少し学ぶ。
『池袋ウェストゲートパーク』軽快な筆致と、テンポのいい展開。続きが読めるとは、幸せ。
『狐弟子』短編集。発表された年にかなりのばらつきがあるせいか、ばらけた感じで、後味いまひとつ。
『紅豚』一人一人の人物描写に熱を感じつつも、謎解き部分が森福作品にしてはちょっともの足りず。
『菊次郎とさき』母が芸人の息子のために、一千万近いお金を貯金していた件で、はからずも涙が……。
『琥珀枕』齢数百歳といわれるスッポン(!)が少年の老師という設定にまずにんまり。時代をさまざまに変えながら、物語にからめて登場人物たちの人となりを描く手法の連作集。巧い、巧いな〜。
『隣りの若草さん』エッセイのような小説。笑いました!


漆黒泉
漆黒泉
posted with 簡単リンクくん at 2006.11.27
森福 都著
文芸春秋 (2005.9)
通常2-3日以内に発送します。


クドリャフカの順番
米沢 穂信著
角川書店 (2005.6)
通常24時間以内に発送します。


 11月がまだ数日残っているものの、早々と本読みリストを作ってみました。
 今月読んだ本の半分が、森福都さん作品で占められました。中国を舞台にした小説は、これまでどうも相性が今ひとつで避けてきた分野でしたが、森福作品にはのめりこみました。ぐいぐいページを繰って、文字が飛ぶように読める作品ではなく、むしろ時間がかかるのに、もっともっと読みたくなるんですね。
 何冊か読んだ中では、スッポンが先生であったり、不可思議なできごとや、あやかしが登場したりする『琥珀枕』がいちばん好みだったのですが、あえて取り上げたのは『漆黒泉』です。
 ミステリー部分に惹かれながらも、それより印象に残るのが登場人物たち。白黒の明快な色分けができない人ばかりで、みな面白いのです。豪商の娘でありながら、8歳で許嫁を亡くしその敵討ちを企てる少女、その許嫁に瓜二つの少年。彼らとともに行動し、上司の死の真相を探ろうとする地方官吏。人気劇団の看板美女役者と、一匹狼の煉丹師。彼らが徐々に見せるもう一つの顔、夢中になって読みました。人がだれしも持つ、表と裏。清濁あわせもつ人となり。興味深いです。

 そして、もう一人気になる作家さんが、米澤穂信さん。『クドリャフカの順番』は、古典部シリーズといわれるシリーズ物の第三作(たぶん)。いきなり、第三作目から読んでしまったのですが、前作を読んでいなくとも十分楽しめます。どんなふうにミステリーになっていくのか、途中まではまったく分からない。日常の中のちょっとした謎がミステリー仕立てで解き明かされるわけなので、謎そのものも「これが、謎かいな?」と思えるほどのことなんですが、そうこうしているうちにすっかりお話に絡め取られるように結末までひっぱられてしまう。文字を追うのが単純に楽しくなります。
 物理的に不可能だと分かってはいますが、つくづく、これを十代で読みたかったと思いました。同年代でこの作品に出会っている人たちが羨ましい!
 
posted by あんく at 21:00| Comment(0) | TrackBack(1) | ○月の本読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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