2007年07月25日

『大仏破壊−ビンラディン、9・11へのプレリュード』

大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード (文春文庫 た 63-1)
高木 徹
文藝春秋 (2007/04)
売り上げランキング: 159874


 数字に弱いせいか、物覚えが悪いのか、かなり大きな事件が起こってもその日にちや、年、時間といったものが覚えられません。それでも、9・11は鮮烈に覚えているのです。深夜近くに報じられたテロのニュース。ビルに飛び込む飛行機の映像は流れるものの、詳細が伝わってこずになにがなんだか分からないまま、一人でテレビを眺めていたときのなんともいえない気分がよみがえってきます。

 そしておりしも、武装勢力タリバンによる韓国人拉致のニュース。
 日本ではすっかり、アルカイダもタリバンも過去の出来事のようになっているものの、こういうニュースを聞くとアフガニスタンは依然、混沌の中にあるのだと痛感させられます。

 この本は、大仏破壊がなぜ行われたのか、またそこに至るアフガニスタンの情勢と、タリバンの変容が、当時その地域にかかわったさまざまな人たちへの取材をもとにつづられます。
 読み始めてまず気づいたのは、アルカイダという武装集団と、アフガニスタンの内部勢力であり政権をとったタリバンとの区別が、自分の中ではすでに曖昧になっていたことです。もちろん、中東情勢をしっかり把握して一連のニュースを見た人も多かったでしょうが、自分は独裁的な政権=テロ集団と混同したまま、今もってアフガニスタンにきちんを目を向けていなかったようです。

 タリバンがどのような活動を経て政権を握ったか、指導者であるオマルという人がどんな人物だったのか。それらは思った以上に、真摯で情熱的で、穏和な印象すら感じさせるものでした。
 しかし、実際にはバーミヤンでの大仏遺跡が破壊され、アメリカ同時多発テロ、さらにはアフガン攻撃という最悪のシナリオをたどってしまったものはなんだったのか。
 ニュースの鮮度が薄れると、アフガニスタンへの関心も低くなる。対岸の火事が、火事の存在すら気にしなくなっていたことに、否応なく気づかされます。

 当時のタリバン政権内部の人や、国連など、多くの関係者の言葉と、著者の分かりやすい文章で、堅い印象でありながら読み始めるととまらなくなる興味深さです。

 今も、タリバン政権の指導者であるオマル師行方不明のままといわれています。果たして彼は、今のアフガニスタンをどう見ているのでしょうか?
 
 
タグ:読書 高木徹
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2007年06月11日

『物は言いよう』

物は言いよう
物は言いよう
posted with 簡単リンクくん at 2007. 6.11
斎藤 美奈子著
平凡社 (2004.11)
通常2-3日以内に発送します。


 FC(フェミ・コード)なる、その言動がセクハラや性差別にならないかどうかの基準を用いながら、政治家や著名人の発言、失言、迷言などなどをえぐる一冊。

 そこまで考えなくても……、と思うところがないわけではないし、己の言動を振り返ってひやりとするところもあるけれど、読み終われば溜飲が下がります。「よくぞここまで言ってくれた!」感たっぷり。

 最後のほうにあるジェンダーフリーの考え方を、色鉛筆にたとえて説明する部分は、とくに秀逸。感激的ですらあります。
 とかく、「女のくせに」とか「男なら」なんて言いがちですが、性別に関係なく、いろんな性格の人がいて、考え方があって、当たり前と思えるようになるには、こうして自分の中にあるものを改めてじっくり見つめてみてはどうだと、語りかけられている、いや横っ面を張られたくらいの衝撃は感じられます。

 しかし、著者の語り口があまりにも快活、爽快なので、すっかり自分も分かったような気分になって、そこで思考が止まってしまうような気も。いろいろな意味で、危険な一冊かもしれません。

 そういえば以前、結婚した友だちが「なんで、夫のことを“主人”なんて呼ばなくちゃいけないの?私は家来じゃないのよ」と鼻息を荒くしていたのを聞いて、そうか、そういうふうに考える人もいるんだと思ったことを思い出しました。
 それ以来、“ご主人”という言葉を使うたびに違和感を覚えつつも、他の人の“夫”をうまく言い表せることばが見つからず、いまだ使い続けています。本書では“ご夫君”と言い換えてはとありますが、さすがにこれは耳慣れないしな……。

 この本が出てから数年たっていますが、未だに公人たる政治家の失言が繰り返されてますね。
 選挙で当選したあかつきには、ぜひこの本を当選祝いとして各政党なり、衆議院、参議院各議会なりで、最低限のマナー本として配布してくれないものでしょうか。それでも理解が難しい方には、ぜひとも、よしながふみの『大奥』をセットにして、もしも性別が逆転したらをもう少しリアルに感じ取っていただけるよう配慮してはどうでしょう?
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2007年06月06日

『十面埋伏』

十面埋伏 上
十面埋伏 上
posted with 簡単リンクくん at 2007. 6. 6
張 平著 / 荒岡 啓子訳
新風舎 (2005.11)
通常2-3日以内に発送します。
 
十面埋伏 下
十面埋伏 下
posted with 簡単リンクくん at 2007. 6. 6
張 平著 / 荒岡 啓子訳
新風舎 (2005.11)
通常2-3日以内に発送します。


 中国の地方にある刑務所。同房の受刑者に暴行をし重傷を負わせた王国炎を取り調べた捜査官・羅維民。王は興奮した口調で自分が過去の凶悪未解決事件に関係していたと言い始める。初めは半信半疑だった羅維民だが、次第にそれが事実であると確信してゆく。
 しかし、その受刑者はなぜか模範囚として異例の減刑まで受けている。なんの対策も講じられないことに不信感を抱いた羅維民は、かつて自分の同僚だった公安の警察官らに援助をもとめながら、真相に迫ってゆく。そして次第に、背景にある官僚や役人たちの汚職が明らかになり、羅維民たちの前に立ちはだかってゆく……。

 上下巻で800ページにも届きそうな長編。しかも、中身は中国の刑務所とそこに絡む汚職。ノンフィクションといっても通用しそうな骨太のテーマ、しかも苦手な翻訳物だけに書店で初めて見たときには「縁のない分野だな」と横目で見ただけでした。
 しかし、食わず嫌いはいけません。とっつき悪さは初めの数ページを読んだら、とっとと消え去ります。導入部分から、最後まで息つかせぬ展開の連続。果たしてどんなふうに結着がつくのか、どこにおさまるのか、読み始めたら止まらなくなりました。

 ニュースでもたびたび取り上げられる、中国の汚職問題。政財界に深く根をはる深刻な問題。さらには、急速な経済発展による富裕層と農村の広がる経済格差。果たして、羅維民たちはこの泥沼のような現実から抜け出せることができるのかと、読んでいるこちら側が気を揉む始末。絶望感すら覚えたのも、一度や二度ではありません。
 それでも、組織の中で知略をめぐらせ、厚い泥に足をとられながら進もうとする人々を、物語は丹念に描いてゆきます。

 悪いことも、いいことも、どちらにしても徹底的にやり尽くす。さらにそこに両方をあわせもつ灰色の人々をも内包して、すべてが歴然と、当たり前の顔をして共存しあう。みなが、ぶつかり合うことをいとわない、熱烈で、激しいものにあふれた、読み応え十分の作品でした。
 お互いを励ましながら、目的に向かってつきすすむ、真の公僕たちの活躍が胸に迫ってきます。

 タイトルの「十面埋伏」とは、周囲に隙なく伏兵が潜んでいることだそうです。
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2007年03月29日

『盗神伝1 ハミアテスの約束』

盗神伝 1
盗神伝 1
posted with 簡単リンクくん at 2007. 3.29
メーガン・ウェイレン・ターナー作 / 金原 瑞人訳 / 宮坂 宏美訳
あかね書房 (2003.3)
通常24時間以内に発送します。


 いわゆる、YAといわれる分野の、冒険物とでもいうのでしょうか?図書館に行くと、中高生向けにぴったりのおもしろそうな本が山のように並んで、その種類も分野も実にさまざま。つくづく、読書好きとして今を過ごせる十代の若人たちが、羨ましい、いや妬ましくすらあります。

 と、恨み言を並べても仕方ないので、YAコーナー(←近所の図書館は、この分野に力を入れているらしく、こんな素敵なコーナーがあるのです)から、気恥ずかしさを精一杯押さえ込んでときどき本を借りてみます。
 そのうちの一冊がこの『盗神伝』。

 自分に盗めないものはないと豪語する少年ジェンは、捕らえられた牢からある日突然引き出される。そこで、ソウニス国の助言者メイガスから、自由とひきかえにあるものを盗むよう命じられる。少年ジェンとメイガス、そして二人の少年剣士と兵士の5人が目指すのは、伝説の石「ハミアテス」だった。果たしてジェンは石を盗み出すことができるのか……

 とわくわくするような冒険ファンタジー。確かに、楽しみました。おもしろかった!物語もおもしろいし、意外な展開が続く後半はどんどん読み進んで、驚かされて。
 でも、これで気づきました。自分は冒険ファンタジーを楽しむようにはできていないようです。面白いのにのりきれない。ぐんぐん引き込まれたいのに、もたもたとお話についていくので精一杯なんです。『指輪物語』も『ゲド戦記』も読んでみたし、和物ならどうだと荻原規子の勾玉シリーズも試しましたが、いまひとつしっくりこない……。

 ぴたっとパズルのピースがはまるような快感を、冒険ファンタジーで味わえるようになれたらどんなによかったか。あぁ、悔しい。
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2006年10月11日

『女信長』

女信長
女信長
posted with 簡単リンクくん at 2006.10.11
佐藤 賢一著
毎日新聞社 (2006.6)
通常24時間以内に発送します。


 織田信長は、実は女だった。女性でありながら、父から家督を譲られた織田信長こと御長。ときは斉藤道三の晩年、女であることを隠しながら、男子として、天下布武への道を歩んでゆく。

 これまでいろいろなドラマなどで何度も描かれてきた人物だけに、織田信長の生涯はおおざっぱながら見知っていますが、一度も魅力的と感じたことはないし、どうにも好きになれない人物でした。
 それが、なぜかこの本を読んでいると、織田信長という人に多くの人が惹かれるのも分かるような気がしてきたのです。男を女に置き換えると、不可解で、突拍子なく見えた行動の意味が透けて見えるように思えてきます。
 男だからこうする、女だからこう考えるという決まりきった形はないと思いますし、物語の中にも違和感を感じるところがないわけではないけれど、やはりしっくりくるから不思議です。

 たとえば、信長が浅井長政の裏切りにあい、敵軍に挟み打ちにされたとき、御市が両端を結んだ小豆を兄に届けることでそれを知らせたというエピソードがありますが、あれを見るたびにどうにも不可解な気持ちがしていたものです。信長が女性だったとしたらずっと納得がいく理由が思い浮かぶことに気づき、すっきりしました。
 ページの大半が信長について描かれていますが、そのほかにも、お姫様然とした正室の御濃や、目端のききかげんがこしゃくな木下藤吉郎など、なんとも人間くさく描かれていたのも楽しみました。

 もしも本当に信長が女だったら。
 もう少し歴史が好きになっていたかもしれません。

 男が女になっただけで、こんなにおもしろい小説ができあがる。小説はやはり事実よりも奇なり。
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2006年10月05日

『エナメルを塗った魂の比重』

エナメルを塗った魂の比重
佐藤 友哉著
講談社 (2001.12)
通常24時間以内に発送します。


 人の肉しかうけつけなくなった少女。地味で目立たない女子高生。彼女のクラスで行われる日常的で執拗ないじめ。自分そっくりのなにものかに、自分を乗っ取られたと言う少女に出会った男。そして、鏡稜子という不可思議な高校生。
 学校の図工室で起こった密室殺人事件を機に、奇怪なできごとの形が徐々にあらわになってゆく……

 宣伝文句にあった“学園ミステリー”という言葉に惹かれて読み始めたものの、前半は、カニバリズムや、容赦のないいじめの場面の連続で、まさか本を読んでここまで胃の腑がしめつけられるような不快さを感じることになるとは思いもしませんでした。
 ただ、その過激な描写が不快ではあるけれど、不愉快ではなく、どこか愛嬌すら感じるのも、これまた不思議な感触で、なんとも不可解な作品でした。
 中盤から、ようやくそれぞれのできごとが繋がりはじめると、先を読みたい衝動にかられて読み進めましたが、結末の意味がいまひとつ。生々しいほどの奇怪さを描写するときの力強さに比べると、結束のしかたはやや弱く、すっきりしない読後感になってしまったのが残念です。

 著者のデビュー作の11年前という設定で書かれた物語らしいので、前作を読めば、また印象も変わるのかもしれません。が、またこの調子のお話を読み切る元気があるかどうか……。

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2006年09月26日

『金春屋ゴメス』

金春屋ゴメス
金春屋ゴメス
posted with 簡単リンクくん at 2006. 9.26
西条 奈加著
新潮社 (2005.11)
通常24時間以内に発送します。


 日本の一部でありながら、自治権を得て、江戸時代さながらの風景と暮らしのある江戸国。余命いくばくもないと診断された父親のたっての願いで、300倍の倍率の中、江戸へと赴くごく普通の大学生辰次郎。彼を待ち受けていたのは、冷徹無比でならした「裏金春(うらこんぱる)のゴメス」と呼ばれる長崎奉行。辰次郎の江戸での日々が始まる…。

 日本ファンタジーノベル大賞受賞作だけあって、近未来のような日本から、時代劇さながらの江戸国へ行くという設定は、まさにファンタジーです。もちろん、そこで時代小説のような人情悲喜劇が繰り広げられるわけではなく、主人公辰次郎がなぜ江戸に行くことになったか、そしてそこで彼が果たすべきことが次第に明かされていきます。

 江戸には江戸の理(ことわり)があり、独特の時の流れと、国の成り立ちがあることは分かるのですが、残念ながらその空気に浸り切れませんでした。物語の中での江戸国は、人々にとっての一種の楽園のような憧れの地として描かれているものの、閉じてそこで完結した円のように思えて、なにがそこまで魅力的なのか、残念ながらよく分からなかった。
 そして、謎解き部分が、深くなりそうで、意外に直球だったのも物足りなさの原因かもしれません。

 ただ、それぞれの人物は、大物から小物までおもしろい人ばかり。一人をのぞいて女性陣がちょっとおざなりなのはなんですが、男性陣はとっても魅力的です。今月、続編も出たようなので、次はどの人がどんな活躍をするのか想像する楽しみ大です。続編に期待というところですね。
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2006年09月25日

『名前と人間』

名前と人間
名前と人間
posted with 簡単リンクくん at 2006. 9.25
田中 克彦著
岩波書店 (1996.11)
この本は現在お取り扱いできません。


 あんまり難しいことは分からないけれど、外国の固有名詞には面白いものがあるんだなぁなどと思いながら読みました。
 面白いものは控えておこうと思いながら、そのまま図書館に返してしまったのでうろ覚えですが、「ほっぺの赤い人」という名字や、「ばか者」という出版社などは、電車の中で読んでいて吹き出しそうになりました。
 また著者は大学でモンゴル語を専攻しておられたとかで、モンゴルの名前に関する記述も多く、興味深かったです。

 その中で、海外の固有名詞はなるべくその元の「音」に近い日本語表記をするべきではないか、という記述がありました。確かに最近では、朝鮮半島の人名については、音を尊重した読み方・呼び方をするのが一般的になってきました。もし一昔前なら、「張東健=ちょう・とうけん→チャン・ドンゴン」、「李炳憲=り・へいけん→イ・ビョンホン」、「崔志宇=さい・しう→チェ・ジウ」となっていたかもしれないんですよね。
 中国名については、政治家などは日本語読みですが、俳優さんや映画監督などは原音に近い音で呼ばれることも多いので、混在型かな?たとえば、かの有名な「毛沢東(もうたくとう)」は中国の普通話(標準語)をあえてひらがなにすれば、「まお・ざーどん」、現国家主席「胡錦涛(こきんとう)」なら「ふー・ちんだお」。でも、映画監督の「張藝謀(チャン・イーモウ)」はそのまま「ちゃん・いーもう」。ただ、中国語のやっかいなところは、いくらカタカナで原音に近いルビをふっても、音の高低があるのでそれを知らなければ通じないところが難点ですが。
(この本で、上記のようなことにふれているのはごく一部です。)

 『ことばと国家』を再読したくなりました。特に「母語」と「母国語」の違いのくだりには感動的でした!

ことばと国家
ことばと国家
posted with 簡単リンクくん at 2006. 9.25
田中 克彦著
岩波書店 (1981.11)
通常2-3日以内に発送します。
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2006年06月27日

『優しい音楽』

優しい音楽
優しい音楽
posted with 簡単リンクくん at 2006. 6.27
瀬尾 まいこ著
双葉社 (2005.4)
通常2-3日以内に発送します。


 『卵の緒』の読後感がなんとも表現しようのないものだったのですが、2冊目のこの作品を読んでみてなんとなくその正体が分かってきたような気がしました。
 お話を読んでいる間、ずっとドキドキするのです。ハラハラ感などは微塵も感じさせない、むしろやわらかくて、あったかみのある文体から紡ぎ出されるのは、私にとって先をよめない展開ばかり。予測もしない会話や状況が次々にあらわれて、あらわれて、あらわれて。
 読み始めの一行から、最後の一行まで、とぎれることのない高揚感に包まれる…そんな不思議な気分を味わえます。

 おそらく、これらの物語を映像化すれば、淡々として、ほのぼのしたものになるところしか想像できないのに、文字や行間は、ミステリーよりも、冒険小説よりもドキドキと興奮させてくれるのです。
posted by あんく at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 さ〜た | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月25日

『エジプトうんちく図鑑』

古代エジプトうんちく図鑑
芝崎 みゆき画・文
バジリコ (2004.6)
通常2-3日以内に発送します。


 この情報量には脱帽です!旅行記ではなく、エジプト歴代の王を年代順に紹介しています。しかも、分かっている範囲で全員です、全員!もちろん、名前だけではっきりした経歴などが分かっていないファラオも多いのですが、それでも彼らの王墓や、それにまつわる発掘秘話などなどが楽しく盛り込まれているからたまりません。
 それにしても、あちこちに散らばるさまざまな情報を、これだけ一つにまとめる作業はほんとうに大変だったと思います。しょっぱなに紹介されている、エジプト神話にしても、比較的すっきりまとめられたこの本を読んでさえ、神様が入り乱れ、お話があちこちに飛び頭が混乱しそうになるくらいですから…。ファラオの系図にしても、近親婚が常であったエジプトだけに、もう系図は混乱の極み。それでも、随所に著者の鋭いつっこみや、脱力しそうな発掘者や宮廷の人たちなどについてのエピソードが散りばめられているので、まったく飽きることなく最後まで読み進めました。
 文字もイラストもぎっしりなだけに、毎日少しずつ楽しく読んでいけるのは、本当にお得感満載。
 いやぁ〜、実に楽しかったです!!

 そしてエジプトといえば、こちら。私にとって何度も、何度も読み返している定番で、そのたびに大笑いできる貴重な本です。実際に持っているのは、単行本ですが、文庫本も出ています。
 ああ、エジプトに行きたい!

エジプトがすきだから。
k.m.p.〔編〕
角川書店 (2003.12)
通常2-3日以内に発送します。

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2006年06月19日

『舞姫通信』

舞姫通信
舞姫通信
posted with 簡単リンクくん at 2006. 6.19
重松 清著
新潮社 (1999.4)
通常24時間以内に発送します。


 宏海の赴任した女子校では、「舞姫通信」が配られる。かつてこの学校には校舎の窓から身を投げた生徒がいた。彼女を舞姫と呼び、その死を受け継ぎながら、死ぬことがなぜいけないのか、そう問いかける舞姫通信。宏海の双子の兄は、かつてビルの屋上から突然飛び降りた…。その兄の恋人だった佐智子がプロデュースする自殺志願の青年の言動が、しだいに舞姫通信にも強く影響を及ぼしてゆく。「死」とさまざまな形で向き合う人々が織りなす物語。

 重松清の語り口の清しさに惑わされそうになるけれど、とてつもなく重苦しいお話。

 双子の兄が突然自殺してしまったことにとらわれ続け、自分の存在すら実感できなくなっている主人公の宏海や、かつての教え子が死を選んだことを救えなかったと自責の念にかられる教師といった男性たち。それに対して、女性たちのなんと自己中心的なことか。特に、死んだ恋人の影をその弟である宏海に求めようとする佐智子の行動なんて、残酷この上ない。その行為の善し悪しよりも、己の道のために人の気持ちや想いを犠牲にせずにはいられない者として描かれているのが印象的でした。
 
posted by あんく at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 さ〜た | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月06日

『波之助推理日記』

波之助推理日記
鳥羽 亮〔著〕
講談社 (2006.2)
通常2-3日以内に発送します。


 鳥羽亮の「野晒唐十郎」シリーズが好きで、かなり読んでいる作家ですが、最近はどうもお話に新鮮味がないので、これは久しぶりに読んだ一冊です。鳥羽亮お得意の剣戟シーンはほとんどなく、釣りばかりしている旗本の三男坊である波之助が、不可思議な事件を解き明かしていく、まさに題名のとおりの推理物です。仕かけそのものは決して目新しいものではありませんが、時代物らしい設定のおかげでちょっと変わったミステリー小品になって楽しめます。鳥羽亮の新路線に期待してます。
posted by あんく at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 さ〜た | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月31日

『卵の緒』

卵の緒
卵の緒
posted with 簡単リンクくん at 2006. 5.31
瀬尾 まいこ著
マガジンハウス (2002.11)
通常2-3日以内に発送します。


 自分が捨て子だと思っている男の子と、若くユニークな母親がおりなす、ふんわりと暖かくなるような家族物語。

 この読後感を、私のお粗末な文章力ではとうてい表現しようもないけれど、この気持ちはたぶん“感動”とかいうはず。涙があふれるわけでもなく、周りの人へ声高に勧めたくなるわけでもないのに、ざわざわとした波のようなものが、読んでいる途中から広がって、読み終わっても続いている。あとで思い出してもまたざわざわがよみがえってくる。完全にのみこまれてしまいました。

 読み始めてとまらず、なにがなんでも最後まで読み進んでしまいたい衝動にかられて一気に読み終えられた爽快感。気持ちよかったです。
posted by あんく at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 さ〜た | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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