2011年04月06日

3月の本読み(2011年)

3月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:972ページ

ボーダー―ヒートアイランド〈4〉ボーダー―ヒートアイランド〈4〉
雅のメンバーが集まって同窓会みたいな雰囲気は、シリーズを読んできた者には嬉しい設定。2時間くらいで一気に読み終わってしまった。柿沢たちに鍛えられ、新しいハードルを越える充実感を味わっているアキと、どこか空虚な時間を過ごしているような大学生のカオルの対比は、ちょっと切ない。
読了日:03月28日 著者:垣根 涼介
最初の哲学者最初の哲学者
『ジョーカーゲーム』より、こっちのほうが柳広司作品!という感じがする。ギリシア神話を知っていたほうがよさそうだが、知らなくてもショートショートのような感覚で楽しめる。装丁も美しい。
読了日:03月08日 著者:柳 広司
地下室からのふしぎな旅 (講談社 青い鳥文庫)地下室からのふしぎな旅 (講談社 青い鳥文庫)
足を踏み入れたすぐ先に別世界があるかもしれない。そんな誰でも思うことから、これだけ世界が広がっていくおもしろさ。子どものころに、出会いたかった。
読了日:03月05日 著者:柏葉 幸子
古代エジプト王国トラベルガイド古代エジプト王国トラベルガイド
過去のトラベルガイドという体裁で書かれているけれど、それがあまり功を奏していない。大昔に書かれたという感じがあまりしなかったのは、何千年も前のピラミッドやスフィンクスが当たり前のようにエジプトに現存するからだろう。
読了日:03月02日 著者:シャーロット・ブース

読書メーター
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2010年11月21日

10月の本読み(2010年)

10月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2219ページ

横浜異人街事件帖横浜異人街事件帖
幕末期の横浜。異人たちが町の風景の一部になっている日常と、そこに起きるさまざまなできごとが淡々としていながら、生き生きと描かれている。攘夷だ、開国だと熱くなることはなく、地に足が着いた感じが好感度大。人物に注がれるまなざしも、ほんのりと温かみがあって、他の作品も読んでみたくなる。
読了日:10月28日 著者:白石 一郎
ふしぎ列車はとまらない―おばけ美術館〈3〉 (ポプラの木かげ)ふしぎ列車はとまらない―おばけ美術館〈3〉 (ポプラの木かげ)
美術館の絵と、吹雪、列車にどんなつながりがあるのか想像がつかず、ちょっとしたミステリー気分で楽しめた。絵にまつわる思いがあふれ出る終盤は、思わず泣けてしまった。まだ続きがあるようなので楽しみ。
読了日:10月25日 著者:柏葉 幸子
虚擬街頭漂流記虚擬街頭漂流記
そういう狙いだとは思うが、途中で露華の体験なのか、ママの記憶なのか分からなくなって混乱する。この二人の関係をめぐる事実が、もっと絡み合うようなものを思わせながら、結局は尻すぼみだったのはもったいなかった気が。しかし、あの西門町の描写は町の風景が本当に浮かび上がってくるようで、それだけでゾクゾクした。
読了日:10月22日 著者:寵物先生
絶叫委員会絶叫委員会
言葉っておもしろいなぁ。一文字違うだけで、こんなに笑える。いちばん笑ったのは、「夏にフィーバーは暑いよね」。フィーバー=熱のことなのかとか、サタデーナイトフィーバーってあったよね、トラボルタのあの衣裳は時代を感じさせるなとか、これだけいろいろ想像してしまえた。
読了日:10月17日 著者:穂村 弘
新・御宿かわせみ (文春文庫)新・御宿かわせみ (文春文庫)
東吾と源三郎のコンビが見られないのが寂しいけど、麻太郎たちの若さは初めのころの「かわせみ」を思わせて、気持ちがいい。花世の勝ち気な感じが、かわいらしくてほほえましい。新暦に慣れない様子や、江戸が東京に変わっていくさまも面白い。
読了日:10月15日 著者:平岩 弓枝
愛は苦手愛は苦手
作者、実は女性なのでは?という思いがますます強くなる。人に見せたり、口に出したりしないけど、40歳も過ぎると女性もいろんなことを考えるもの。さらりとしているけれど、自分でも蓋をしているところを覗かれたような、ちょっとくすぐったい感じがする。輝かしくはないけど、若くなくなることも幸せだと思えてくる。
読了日:10月14日 著者:山本 幸久
皇后ジョゼフィーヌのおいしい人生皇后ジョゼフィーヌのおいしい人生
愛人を作ったり、結婚を画策したり、恋愛の域を越えてほとんど仕事。貴族生活もこうしてみると優雅とは程遠い。ナポレオンも、当時としてはかなり規格外な感じで、現代風。藤本作品にしては、毒気控え目で少し物足りないかな。
読了日:10月06日 著者:藤本 ひとみ
第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)
なにが真実なのか、読めば読むほど分からなくなって、前二作で描かれた物語が全く違うものに変わったのは、これぞ読書の醍醐味という気分。悪童日記での双子の無感情がそら恐ろしかったけれど、その反動のような強い感情に揺さぶられる。ただ、また読みたいとは思わないかな。
読了日:10月02日 著者:アゴタ・クリストフ

読書メーター
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2010年10月06日

9月の本読み(2010年)

 8月はぐんぐん本を読むスピードがあがった反動か、今月は今ひとつ読書はかどらず。

9月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2524ページ

戸村飯店青春100連発戸村飯店青春100連発
青春とは、考えなくていいところまで一所懸命考えて、考えて、悩んだり、思い違ったりしながら、時間を無駄にできる貴重な時代なんだと思った。一所懸命考えて、くねくねと回り道ができる戸村兄弟が、かわいくてしかたなくなる。自分にもこういう時間が流れていたことを、思い出させてくれる。あぁ、青春まさに100連発!
読了日:09月28日 著者:瀬尾 まいこ
アルベール・カーン コレクション よみがえる100年前の世界アルベール・カーン コレクション よみがえる100年前の世界
BSドキュメンタリーで見て、いっぺんに魅了された世界が、本になってもやはりすばらしかった。ほんの100年ほど前の世界なのに、こうして写真で目にすると、まさに劇的に世界が変わっていったんだと思い知らされる。今回は図書館で借りたけれど、いつかちゃんと買って手元に置きたい。
読了日:09月25日 著者:デイヴィッド オクエフナ
プロムナードプロムナード
書くことが楽しくて、文章で表現したいことがたくさんあるんだということが、そこかしこから感じられるエッセイ。どんな人物が書いたかは、物語には無関係なんだとは分かっているけれど、書きたくてたまらないと思って書きあがった作品だと分かったら、妙に嬉しくなった。奇をてらったところがない、淡々とした読み口に好感がもてる。
読了日:09月24日 著者:道尾秀介
親指の恋人親指の恋人
可愛らしげな表紙とタイトルと、その中身とのあまりの落差に騙されてしまった。生きてればいいことがあるとか、辛くてもがんばれば報われると思っているわけではないけれど、それでもこの虚しい感じはなんだろう。樹里亜のために就職するといいながら、面接でやる気のなさを指摘されてしまう澄雄。お金のため、生活のためにやる気が出せないようで、果たして樹里亜とやっていけたのかと、意地悪く見てしまったのは、自分が大人になったからだけじゃないと思いたい。
読了日:09月20日 著者:石田 衣良
ふたりの証拠 (Hayakawa Novels)ふたりの証拠 (Hayakawa Novels)
油断していたら、最後に一気に混乱して、そこだけ3回くらい読み直してしまった。一人称でしか語られなかった『悪童日記』と違い、それぞれに名前が与えられると、それだけで人の温度を感じられるようになる気がした。
読了日:09月14日 著者:アゴタ クリストフ,アゴタ・クリストフ
47都道府県 女ひとりで行ってみよう47都道府県 女ひとりで行ってみよう
誰とも話せなくて、食べ物屋さんを眺めて悩んで入れなかったり、分かる、分かるな〜。自分が住むところで、作者がなにを感じているのか気になってどきどきしながら読み、行ったことのある場所はそのときのことが思い出されて、知らない場所では想像がふくらみ、全部それぞれ違うふうに楽しめた。人の旅の話はおもしろくないかもと書いてあったけれど、十分におもしろい!
読了日:09月07日 著者:益田 ミリ
チャイルド44 下巻 (新潮文庫)チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
上巻での八方ふさがり的な息苦しさが、下巻で少しずつほどかれていく。その、じわりとした、ささやかな希望が、権力を持たない庶民にもたらされるところに、救いを感じる。この物語は終わっても、レオたちの生活は続いてゆくし、今あるものが明日の保障もないことは、物語の中でいやというほど味わっているだけに、ラストが思っていたよりもずいぶんと爽やかだったことにほっとした。妻のライーサが言うように、どんな状況にあっても希望を持ち続けることを諦めない主人公レオは、強かった。
読了日:09月05日 著者:トム・ロブ スミス
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
断片的なエピソードがなかなかつながってゆかず、少し焦れるけれど、それでも続きが気になって読むスピードがあがっていった。スターリン政権下の生活というのは、こんなにもビリビリしていたのかと思うと、読むだけで胃が痛くなる。ここに描かれた国家で、心底明るい未来を思い描ける人は、いったいどれだけいたのだろう。
読了日:09月03日 著者:トム・ロブ スミス

読書メーター
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2010年09月01日

8月の本読み(2010年)

8月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:5233ページ

月の恋人―Moon Lovers月の恋人―Moon Lovers
恋愛小説というより、それぞれの成長譚として十分楽しめた。何年かたったら、ドラマと結びつけられることもなくなって、一遍の物語として楽しめそう。ただ、シューメイが台湾人なのに上海で働いていたり、学生時代に日本へ卒業旅行したとかいう辺りのありえない設定が気になった。ドラマの配役ありきだから?
読了日:08月30日 著者:道尾 秀介
天の鹿―童話天の鹿―童話
幻想的で、少し怖い。不思議な鹿の市の描写が魅力的で、水晶の首飾りも、美しい反物、おいしそうな食べ物に、珊瑚や不思議なものが目に浮かんでくる。
読了日:08月28日 著者:安房 直子
ホルモー六景ホルモー六景
ただのスピンオフ作品と侮るなかれ。時間も空間も想像以上に広がって、サービス精神の極み。二人静の、定子&彰子コンビが男前で、凡ちゃんのいじらしくて、のっけからぐっときて、最後まではずれなし。世界はホルモーでつながっている……のかも?
読了日:08月28日 著者:万城目 学
オチケン! (ミステリーYA!)オチケン! (ミステリーYA!)
出だしがかなりおもしろくて期待しすぎたのか、肩すかしをくらわされた感がなきにしもあらず。日常系ミステリーなのだが、落語をからめた謎があまりストンと落ちてこなかった。岸が名前以外に、そこまで越智をかっているのもよく分からなかったかな。乗馬部の丹波のお礼はなかなか、しゃれていた。
読了日:08月25日 著者:大倉 崇裕
鼠、闇に跳ぶ鼠、闇に跳ぶ
どのお話も、すっきりと短く、それでいてちゃんと時代物の味わいがあって、しかもおもしろい。次郎吉と小袖のかけあいの軽妙さ、鼠小僧とてどうにもしようのない切なさなどなど、いろいろな種類の余韻が残る。余計な言葉をそぎ落として、分かりやすく、かつ面白いお話って、ありそうでなかなかない。
読了日:08月23日 著者:赤川 次郎
野球の国野球の国
球場に行った翌日に見かけて、そのまま読み始めた。球場で見る生の野球のおもしろさと、テレビでは味わえない臨場感が手にとるように伝わってくる。作者のように、地方球場で野球を見る旅に出たくなる。旧広島市民球場をほめてくれて、感謝!!
読了日:08月23日 著者:奥田 英朗
扉守(とびらもり)扉守(とびらもり)
大林宣彦監督の映画といい、この作品といい、尾道にはここにあるような気の流れがあるのかもしれないと思えてくる。一つのめ「帰去来の井戸」がおもしろく、この井戸をめぐる人たちの連作だと思いこんでいたので、まさかとぼけた住職・了斎が全編を通じて登場する人物だったとは。
読了日:08月21日 著者:光原 百合
身をつくし 清四郎よろづ屋始末身をつくし 清四郎よろづ屋始末
よろづ屋清四郎、かっこよすぎます。ぬぐい去れない過去が陰となり、切れ者で、見目もよく、機微にも敏いというあまりの魅力的な造形に、かえって近づきがたく距離を覚えてしまう。むしろ、小ずるく友人に嫉妬する3話目「お染観音」のお都勢や、自らを凡庸だと認める2話目の水野のような人のほうが気になってしまう。お話は、さすがの巧さ。
読了日:08月19日 著者:田牧 大和
深川にゃんにゃん横丁深川にゃんにゃん横丁
市井ものの時代小説を読むと、いつの時代にも地道に、でも確かに生きていた人たちがいたんだと思える。
読了日:08月17日 著者:宇江佐 真理
魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章
ユーモアとスパイスがしっかり効いて、楽しみながらも、しっかり一冊読んだ満足感を味わえる。10章に登場するオペラに感動したN社長の話が印象的。まっさらな状態で素晴らしいものに出会えたN社長と、その瞬間に居合わせた人たち両方がうらやましくなるほど痺れるエピソードだった。
読了日:08月16日 著者:米原 万里
大おばさんの不思議なレシピ (偕成社ワンダーランド (8))大おばさんの不思議なレシピ (偕成社ワンダーランド (8))
魔法のレシピが、不思議な世界への入り口。しかも作ると必ず行けるわけではないというのも、いい。不器用ながら、お節介な少女をはじめ、周りもいい味。柏葉幸子作品にすっかり魅入られたみたい。
読了日:08月15日 著者:柏葉 幸子
夏と花火と私の死体 (集英社文庫)夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
読了日:08月15日 著者:乙一
怖い絵怖い絵
テレビも映画もない時代、絵画はそれらの代わりにもなっていたことがよく分かる。恐ろしい絵を描くのも、それを楽しんで見る人たちがいるのも、こう考えるとしっくりくる。直接的な怖さに、背景を知って分かる怖さと、いろいろあっておもしろい。
読了日:08月15日 著者:中野 京子
カラフル (文春文庫)カラフル (文春文庫)
死を選んだ少年に、「ぼく」が宿り再び生き直すという物語に素直に感動。真がなぜ突然死んでしまおうとしたのか、両親や兄は苦悩するものの、もう一度真に向き合うチャンスを得られたことが、心底羨ましい。突然逝ってしまった人に、なぜと聞くことも許されず、逝ってほしくないとすがることもできないと知っているから、このお話が沁みてくる。本当に、ここにあるような抽選があるといいのに。
読了日:08月15日 著者:森 絵都
悪童日記 (Hayakawa Novels)悪童日記 (Hayakawa Novels)
双子の少年たちの目を通して見た戦時下は、ときどきそれを忘れてしまうくらいに淡々としていて、ゆえに日常だったんだと思うと重い気分になる。自分たちの正義にのっとって行動する二人に、感情の昂ぶりも、揺れもないのが怖かった。彼らがどこを見ているのか知りたくて、続きを読んでしまうんだろうな。
読了日:08月14日 著者:アゴタ クリストフ,クリストフ、アゴタ,Agota Kristof
トマト魔女の魔女修業トマト魔女の魔女修業
トマトが魔女という発想からして、楽しい。魔女と普通の女の子がトマト魔女を介して出会い、少し成長する物語は夏休みにぴったり。
読了日:08月13日 著者:柏葉 幸子
なでしこ御用帖なでしこ御用帖
読み始めて、“斬られ権佐”の名前が出てきたのに驚きつつも、嬉しくなった。彼の孫娘お紺が、祖父にならうように捕り物にかかわる連作短編は、若い娘の瑞々しさにあふれて、爽やか。威勢のいいお紺と対をなすような、優しくてちょっと頼りない男どもも味がある。お紺が同心に向けた「この、とんちき侍が!」という一言がお気に入り。
読了日:08月12日 著者:宇江佐 真理
のぼうの城のぼうの城
長親が登場したところで、すでになにかやってくれそうな予感がして興奮した。三成勢の圧倒的な数をたのんだ攻めを、真っ向から受けて立つ長親勢の奮闘は、歴史も合戦も、戦国物にも疎いのにワクワクしっぱなしだった。
読了日:08月10日 著者:和田 竜
偏愛ムラタ美術館偏愛ムラタ美術館
絵画というのは、少なからず描く人の情熱が形をなしていると思ってはいたが、ここにある作品へこめられた情熱は、これまた分かりやすいぶん迫ってくる。内面からほとばしり出る「描きたい」という思いが、著者の琴線に触れ、さらに多くの人がそこに引きこまれる。情念の作品のオンパレードに、あてられつつも目が離せなくなる。
読了日:08月05日 著者:村田 喜代子
おばけ美術館〈2〉妖精ケーキはミステリー!? (ポプラの木かげ)おばけ美術館〈2〉妖精ケーキはミステリー!? (ポプラの木かげ)
おばけ美術館の第2作目。美術館の面々をどういう形で活躍させるのか想像するだけで楽しくなった。美術館内だけでなく、街中で存分に活躍してくれるおばけたちは、相変わらず魅力的。
読了日:08月02日 著者:柏葉 幸子
おばけ美術館へいらっしゃい (ポプラの木かげ)おばけ美術館へいらっしゃい (ポプラの木かげ)
夏休みにぴったり。おばけ美術館の館長になったまひると、画から飛び出たものたちの賑やかそうな雰囲気が楽しく、わくわくしてくる。ひらいたかこの挿し絵が、お話にぴったりで可愛いのもよい。
読了日:08月02日 著者:柏葉 幸子
金魚生活金魚生活
ところどころに、中国語そのままの単語が交ざる文章には、不思議なリズムがあって、これが妙に心地いい。孫の世話をするために、日本でお見合いしようかという発想が、玉玲のどこかのんびりした人にかかると、計算という感じが薄らいで、楽しそうに見えてきた。金魚色、いい色の名前だ。
読了日:08月02日 著者:楊 逸

読書メーター
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2010年08月01日

7月の本読み(2010年)

6月分は、なんだか赤と黒の表紙が多くなり、変におどろおどろしい感じになったけれど、7月は少し爽やか風味。意図したわけではないんですがね。

7月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:4836ページ

東京日記2 ほかに踊りを知らない。 (東京日記 (2))東京日記2 ほかに踊りを知らない。 (東京日記 (2))
自分が見ているものにも、こんなおもしろそうなものが潜んでいるのかもしれないと思うだけで幸せな気分になる。タイトルの「ほかに踊りを知らない」のくだりは、まさかの内容に笑った、笑った。
読了日:07月29日 著者:川上 弘美
牡丹さんの不思議な毎日 (あかね・ブックライブラリー)牡丹さんの不思議な毎日 (あかね・ブックライブラリー)
型破りな牡丹さん一家と、脱力系幽霊、好きです。どの幽霊たちも、登場のしかたが凝っていて、彼らがどんなことをするのか想像もつかないので、わくわくしながら飽きずに読めた。大人も楽しめるけれど、子どもたちにもぜひぜひ読んでほしい。
読了日:07月29日 著者:柏葉 幸子
1/4のオレンジ5切れ1/4のオレンジ5切れ
母から残されたレシピをもとに、小さな料理店を営む女性。母やきょうだいたちとの日々、そして少女のころに出会ったドイツ兵との思い出。ひりひりするような焦燥感や、求めても手の届かないものへの強い憧れと憎しみ、そのどれもが重苦しいのに、美しくて心に残る。見たことも、味わったこともないのに、出てくる料理がどれもこれも輝かんばかりにおいしそう。とにかく、おもしろかった!
読了日:07月27日 著者:ジョアン ハリス
つづきの図書館つづきの図書館
裸の王様や、オオカミといった絵本の中の人たち(?)の優しさが沁みてくる。絵本から飛び出してしまうほどに誰かを心配する姿は、捜されている子どもたちだけではなく、それを見ている読み手にも安らぎをもたらしてくれる。人は、誰かに思われていると実感すると、元気になれるんだと思える。
読了日:07月24日 著者:柏葉 幸子
ニート・ニート・ニートニート・ニート・ニート
真っ当からこぼれている人たちばかり。無職、ヒモ、引きこもりに、正体不明の少女が繰り広げる、ハチャメチャな北海道旅行がパワフルでいい!映像化されたら、と想像が膨らむ一冊。
読了日:07月24日 著者:三羽 省吾
心で知る、韓国心で知る、韓国
韓国ドラマのお伴に最適。韓国映画、ドラマを見ていて感じる「なぜ」が氷解する。儒教、理と気、恨など、丁寧な解説で少しだけながら、お隣の国の内側をのぞくことができたような気がする。
読了日:07月22日 著者:小倉 紀蔵
ふしぎの国の安兵衛ふしぎの国の安兵衛
仕事も家のことも大変だし、そろそろ結婚して嫁さんでももらうかな。ひろ子にとって、安兵衛ってこういう存在なんじゃないかと思えてしかたなかった。が、安兵衛が江戸でどう過ごしていたかを話してから、ラストまでの展開で、そのモヤモヤも忘れてもいいかなという気分に。実際のところ、ひろ子は安兵衛をどう思っていたのかな?
読了日:07月22日 著者:荒木 源
追想五断章追想五断章
小説の作者として、追想の中でしか登場しない叶黒白像が、徐々に浮かび上がってくるような構成と、彼の残した陰鬱な短編が見せる光景は、大正や明治といってもいいような雰囲気がある。
読了日:07月20日 著者:米澤 穂信
誰にも見えない誰にも見えない
読み始め、この今どきの若者というより子ども言葉でどこまで耐えられるのか不安だったが、それが次第に気にならなくなった。14歳は一つの通過点だけど、やはりどこか特別な年ごろなんだなと思う。人が生まれてからしなければならないことは、誰かを幸せにすることかぁ。心の奥底に沈んでいくような言葉だった。ピオーネが食べたくなる。
読了日:07月19日 著者:藤谷 治
百年の家 (講談社の翻訳絵本)百年の家 (講談社の翻訳絵本)
荒れ果てた家に、人が集まり、息を吹き返していくような前半と、少しずつ人が減り、家の姿が変わってゆく後半。文字では味わうことのできない、絵本ならではの感慨がじんわりと伝わってくる。人の一生も長くて百年ほどだと思うと、これは人の一生の物語でもあるのかなと思えてくる。
読了日:07月18日 著者:J.パトリック・ルイス,ロベルト・インノチェンティ
さよならドビュッシーさよならドビュッシー
真摯という言葉が甘っちょろく思えるほどの少女の生き方に圧倒されて、ほとんど一気読み。ただ、障害のある、なしにかかわる目線が、少女を通してだからかものすごく一面的なのが気になった。そして、おじいちゃんに、新条先生、岬先生と男性が個性的でいいのに、女性たちがことごとく魅力がない。女性が生き生きしている作品好きとして、大いに不満。
読了日:07月17日 著者:中山 七里
アニメーション監督 原恵一アニメーション監督 原恵一
クレヨンしんちゃんファンとして、貪るように読みふけったものの、しんちゃんに思い入れのない人には、少しとっつきにくい造りかもしれない。が、なにかを創りたいというエネルギーは、それがアニメだろうか、実写映画だろうが、他のものだろうが同じように熱くて、おもしろい。
読了日:07月14日 著者:
天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺
まさに人らしくない、まっとうすぎるソニンが物足りなくて、王子二人やイェラ王女のほうに共感できると思ってきたけれど、もしかすると自分がソニンと同じ目線で彼らを見ているからそう感じるのかもしれないと四巻目にしてやっと気づいた。ソニンは、読む物を含めてまわりのものを映しこむ鏡のような存在なのかも。
読了日:07月14日 著者:菅野 雪虫
台湾人生台湾人生
台北の横断歩道で信号待ちをしていたとき、日本語で話しかけてきた銀髪の女性の嬉しそうな表情を思い出した。台湾=親日と簡単に言われがちだけれど、それだけじゃない深い深いものを、丁寧に拾ってくれているのが同じ日本の女性なのが救い。戦後日本の宿題がここにある。
読了日:07月10日 著者:酒井 充子
恐怖と愛の映画102 (文春文庫)恐怖と愛の映画102 (文春文庫)
興味の中心が映画だったころに観た作品が次々に出てきて、懐かしくなった。ハリウッド作品から、ヨーロッパ、中東、アジア、邦画まで網羅しながら、そのどれにも注がれる愛情と鋭い視点に、フィルムの断片がよみがえるよう。『怖い絵』の中野京子だと、半分くらい読んでから気づいた。おもしろいわけだ。
読了日:07月09日 著者:中野 京子
オケ老人!オケ老人!
楽器もできないし、音楽のことはさっぱりだけど、演奏会の場面はまるで自分もオケの一員になったような錯覚に。音楽って、あんなにも気持ちのいいものだとしたら、自分は随分損をしているのかも。お年寄りたちが楽しんでいるのも、うまくなっていくのも嬉しい。
読了日:07月07日 著者:荒木 源
怖い絵2怖い絵2
絵画の背景を知ると、こんなにも絵が違って見えるんだと目からウロコ。2から読んだけど、他ももちろん読むつもり。
読了日:07月07日 著者:中野 京子
女中譚女中譚
本物のメイドだったすみさんのとわず語りは、もとになったらしい作品を知らずとも、その時代を生きてこずとも、さもそれらが旧知であるかのような感慨を抱かせてくれる。時の流れを歪められたような読後感。
読了日:07月04日 著者:中島 京子
私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件
画家として芽が出なかったファン・メーヘレンが、贋作に心血を注いでいくさまはまさに、事実は小説よりも奇なり。ただ、個人的にはメーヘレンの描く画があまり好きな類のものではないので、目で見てそのすばらしさを実感することはできなかった。
読了日:07月03日 著者:フランク・ウイン

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2010年07月01日

6月の本読み(2010年)

6月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2667ページ

奇縁まんだら 続奇縁まんだら 続
不勉強で、前の巻よりさらに作品を知らない方ばかり。それなのに、その人となりがやすやすと映像として浮かんでくるのが不思議。こんなにたくさんの人と会い、またそれをまるでつい数日前のことのように描ける作者の記憶力に敬服。いや、本当におもしろい!
読了日:06月30日 著者:瀬戸内 寂聴
虎と月 (ミステリーYA!)虎と月 (ミステリーYA!)
山月記とミステリー。まったく縁のなさそうな二つが結びつくと、こんなふうになるのかとおもしろく読んだ。山月記のテンポのよい漢文調の文章が、しきりに読みたくなるのは、やはり作者の山月記への愛情があふれた作品だからじゃないかと思えてくる。
読了日:06月27日 著者:柳 広司
マローディープ 愚者たちの楽園 (講談社ノベルス)マローディープ 愚者たちの楽園 (講談社ノベルス)
モルディブと伊豆での事件が、徐々につながっていく過程を、時間を前後させながら語り、それを混乱させずに読ませる手腕はさすが。気づいたら、パズルのピースが埋まっていたというように、ぴたっと収まる気持ちよさ。伏線拾ってますと、主張しないこのさりげなさが好きだ。
読了日:06月27日 著者:森福 都
田村はまだか田村はまだか
40歳にもなると、いろんなことがあるなと妙に納得するものの、「田村はまだか」があんまりにも繰り返されて少しくどい感じがしてしまった。
読了日:06月23日 著者:朝倉 かすみ
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
大人も子どもも楽しめる、いいお話。かのこちゃんと、すずちゃんの出会いや、風変わりな二人の友情、猫と犬の夫婦とか、はたまた猫股のお話まで、思わぬところに連れて行ってくれる世界の広さを堪能した。かのこちゃんみたいな子どもと、遊んでみたいなぁ。
読了日:06月20日 著者:万城目 学
ダブル・ジョーカーダブル・ジョーカー
超人的なD機関のスパイたちといえども、人の感情や、巡り合わせに抗えないところがあるんだと思えて、前作より好感度アップ。そのぶん、皇国に忠誠を尽くそうとするわけでもなさそうな結城中佐が、なんのためにD機関を作り上げたのか気になり始めた。その答えが知ることができるのだろうか。
読了日:06月18日 著者:柳 広司
桜下の決闘 吉岡清三郎貸腕帳桜下の決闘 吉岡清三郎貸腕帳
清三郎と、陰気な女中おさえの他にも、清三郎の祖父や、新しい下女などが登場して、ますます魅力的。清三郎のひねくれきった優しさがかいま見える物語のおかしみと、剣戟シーンと冴えわたるさまが、さすがの出来!それだけに、最後が気になる。シリーズ三作目を切望します。
読了日:06月17日 著者:犬飼 六岐
木練柿(こねりがき)木練柿(こねりがき)
信次郎と清之介に注がれる、伊佐治の父親のような温かい目線にほろりとする。人と人が交わりながら、変わっていけると思わせてくれるぶん、前作よりずいぶんと温度が感じられる。もちろん、それでも拭いきれない仄暗さも健在で、ひと味ちがった時代物になっているのがいい。
読了日:06月16日 著者:あさの あつこ
忍びの国忍びの国
中盤くらいまで、だれが主軸なのかよく分からず、手探りしながら読むような感じだった。中盤以降は、加速度的におもしろくなり、事が決する第4章は大いに盛り上がった。忍びの生き方は、野生動物のようで、領地を広げ勢力を強めるために戦いを繰り返す武将よりも、魅力的に思えた。とにかく、出てくる人みなが魅力的だけれど、やはり無門がいちばん。お国とのかけあいがおもしろいだけに、最後が切なかった。
読了日:06月04日 著者:和田 竜
トワイライト・ミュージアム (講談社ノベルス)トワイライト・ミュージアム (講談社ノベルス)
タイムトラベルに至る設定が面白いけれど、中世イングランドの暗い空気と、枇杷が受ける痛みの描写に息苦しくなった。うまく言えないけれど、ところどころにトゲのような冷たさを感じてしまう。続きがあっても手が出そうにないかな。
読了日:06月01日 著者:初野 晴

読書メーター
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2010年06月01日

5月の本読み(2010年)

5月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2941ページ

白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)
「はざま」という言葉を思わせる、どこにも属すことのない場所に迷いこむような童話集。鶴のくれた青いお皿のお話『鶴の家』を読み終わったとき、気づいたら泣いていた。安房直子のお話は、ときどき、思い出したときにぽつり、ぽつりと少しずつ読みたくなる。
読了日:05月31日 著者:安房 直子
ポトスライムの舟ポトスライムの舟
社会人になって、一番時間をとられるのが仕事のそれ。働く意味が揺らぐと確かに辛い。ゆえに自分と仕事の関係に、どういう折り合いをつけられるかは大切。「時間を金で売っているようだ」に激しく納得。それでも、仕事に向き合おうとするお話なので、ほっとする。
読了日:05月27日 著者:津村 記久子
十角館の殺人 (講談社ノベルス)十角館の殺人 (講談社ノベルス)
もっと捻りがあったり、もっと衝撃的だったりする作品は他にもあるだろうが、すとんと落ちるような明快さと、まとまりの良さは頭抜けている。ミステリ入門として、人に勧めたくなる。
読了日:05月26日 著者:綾辻 行人
奇縁まんだら奇縁まんだら
登場するお歴々のうち、川端康成、水上勉、遠藤周作をそれぞれ一作ずつ、しかも短編しか読んだことがないのに、だれもかれも身近に思えてきた。ここまで書いて大丈夫?と思うような破天荒さのオンパレードだが、そのどれもに愛嬌がある。こういう人たちの描く文学世界に、俄然興味が湧く。
読了日:05月24日 著者:瀬戸内 寂聴
ナンシー関の記憶スケッチアカデミー〈2〉 (角川文庫)ナンシー関の記憶スケッチアカデミー〈2〉 (角川文庫)
もう苦しくて、涙が出て、息もできなくなるほど笑ったのは、本当に久しぶり。悶絶するほどのおかしさ。ナンシー関のコメントがすばらしいのは言うまでもないが、中年、壮年の人たちがどんな顔をしてこれを描き、さらには投稿までしたのかと思うと、嬉しくなる。
読了日:05月23日 著者:ナンシー関
恋文の技術恋文の技術
阿呆だなぁ、なんて阿呆な男なんだ守田。そう思って笑っていたら、後半でほろっとさせられ、はからずも涙さえこぼしそうになってしまった。守田よ、つくづくしょうがない男ながら君は佳いやつなのだなあ。恋文修行、果たされり、そう思うよ。
読了日:05月23日 著者:森見 登美彦
韓国人ウ君の「日韓の壁」ってなんだろう韓国人ウ君の「日韓の壁」ってなんだろう
その国をひとくくりにした一面で見ても、本当の姿は見えないということがよく分かる。日韓関係に限らず、今の日本は、果たして地に足のついた世界観を持っているのかと考えてしまった。
読了日:05月22日 著者:禹 守根
水曜日の神さま水曜日の神さま
角田光代のエッセイは、やはりおもしろい。旅のしかたも、食べ物の好みも、文章に出てくるいろんなことが自分とは違いすぎて、行きつく先が予測できず、ざわざわしたものが静かに押し寄せてくるような読み応えがいい。違いすぎるから、楽しめるというこのずれた感じが愉快。
読了日:05月15日 著者:角田 光代
日本の国宝、最初はこんな色だった (光文社新書)日本の国宝、最初はこんな色だった (光文社新書)
褪色して、ひなびた味わいの美術品もいいけれど、極彩色に色鮮やかな往事の作品もいいと、だんだん思えてくる。
読了日:05月13日 著者:小林泰三
父の戦地父の戦地
戦争が日常であった世代にしか書けない、てらいのない文章だからこそ、泣けてくる。戦時下=悲劇の一面が強調されるより、のんびりとしたお父さんの葉書のほうが、考えさせられるのは皮肉。
読了日:05月09日 著者:北原 亞以子
オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険
心理学と名付けた西周が、初めは性理学としようとしたというが、その方が心理学の内容に合っているかも。話題になるニュースは目にふれても、確かにその後の真偽や経過は目に触れないことのほうが多いことを、肝に銘じなくては。
読了日:05月04日 著者:鈴木 光太郎
儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
黒くて、どこか淫靡な空気漂うお話は、どれもおもしろかった。特に、山荘のお話はうまく裏切られてよかった。続編もできそうな終わり方だったのも、嬉しい。
読了日:05月03日 著者:米澤 穂信

読書メーター
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2010年05月01日

4月の本読み(2010年)

4月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3905ページ

八つの小鍋―村田喜代子傑作短篇集 (文春文庫)八つの小鍋―村田喜代子傑作短篇集 (文春文庫)
不思議な味わいが後をひく。まったく別ものだけれど、梨木香歩の作品にある不可思議な世界を連想する。
読了日:04月28日 著者:村田 喜代子
ぶれない―骨太に、自分を耕す方法ぶれない―骨太に、自分を耕す方法
平易な文の中に、道を究める人ならではの強さがほとばしる。まだまだ描きたいものがあるとあるように、もっと長生きして思う存分描いていただきたかった。
読了日:04月27日 著者:平山 郁夫
ホンのお楽しみ (講談社文庫)ホンのお楽しみ (講談社文庫)
一番信頼している書評家さんだけに、この一冊だけで読みたい本がざくざく。イラストもかわいらしい。
読了日:04月26日 著者:藤田 香織
待ってる 橘屋草子待ってる 橘屋草子
橘屋という料理屋を舞台にした、時代連作短編。それぞれの人生を真剣に生きる女性たちの姿がまぶしい。そして、彼女たちを見つめる女中頭のお多代の、厳しくも温かい目に、安堵する。あさのあつこの時代小説って、いいなぁ。
読了日:04月26日 著者:あさの あつこ
叛旗は胸にありて叛旗は胸にありて
苦手な謀反の話なのに、主人公の熊谷三郎兵衛の人物設定がよくて、物語にぐんぐん引きこまれた。提灯貼りは玄人はだし、風貌はらっきょう、小心で足だけは速いが風采の上がらない浪人者の彼が、いかにして謀反に関わってゆくのか。「読ませる」物語だった。この作者が生み出す人物は、どうしてこうも魅力的なんだろう。
読了日:04月23日 著者:犬飼 六岐
モンキームーンの輝く夜にモンキームーンの輝く夜に
ちょっと苦手な文体だったけれど、シノヤンとの関係がああなってから、先が気になって一気に読了。7年前の本だけれど、ラオスは今ものどかなんだろうか。
読了日:04月20日 著者:たかの てるこ
ブルータワー (徳間文庫)ブルータワー (徳間文庫)
余命宣告された主人公も、200年先の黄魔はびこる世界も、重苦しいはずなのにテンポよく読める。途中、かなり間をあけても、すぐに物語にもどれた。李博士が語る文革時の、読書会の話が印象的。
読了日:04月18日 著者:石田 衣良
シングルベルシングルベル
すみれ、彩子、カトリーヌの女性3人が魅力的。恋もするし、仕事も、家族のことも大事だけど、結婚するまでには踏み出さないふわっとした感じこそが、山本幸久の真骨頂。すみれに幸せになって欲しいんですと策を巡らせる尾崎も、彩子と後輩社員の財井の関係にもほろっときた。みんな、表現方法は違うけれど、誰かに大事に思われてい生きているんだなと思うと、妙にほっとする。
読了日:04月13日 著者:山本 幸久
にょにょっ記にょにょっ記
もったいないから、ちょっとずつ読みたいのに、ついつい一気読み。くすくす笑いは、健在です。
読了日:04月10日 著者:穂村 弘
忙しい日でも、おなかは空く。忙しい日でも、おなかは空く。
食欲がむくむくと湧いてくるようなレシピの数々。にわかに、台所が恋しくなる。根菜類や、冬野菜の登場率が高いので、秋口に読むとよさそう。
読了日:04月08日 著者:平松 洋子
メモリークエストメモリークエスト
適度に後ろ向きなところに、妙な親近感を覚えつつ、あっという間に読了。異色の紀行本ながら、世界とつながったような感覚を味合わせてもらえる。
読了日:04月05日 著者:高野 秀行
カラスの親指 by rule of CROW’s thumbカラスの親指 by rule of CROW’s thumb
面白いけれど、後味が悪い作品を書く人というイメージだった作者に、見事に裏切られて爽快な気分。親指のエピソード、よかったなぁ。
読了日:04月02日 著者:道尾 秀介
銀漢の賦銀漢の賦
銀漢とは、天の川のことだそうだ。武士という縛りの中にあっても、懸命に生きようとあがく旧友たる二人の生き様は、初老という年齢を忘れさせる若々しさと強さがある。
読了日:04月01日 著者:葉室 麟

読書メーター
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2010年04月30日

3月の本読み(2010年)

3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1556ページ

天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星
冒険色は薄め。これで、三国それぞれの色が見えてきて、どこまでお話が広がるのかという楽しみができてきた。
読了日:03月20日 著者:菅野 雪虫
発明マニア発明マニア
分厚さを感じさせないおもしろさ。妹さんによるあとがきがすばらしかった。
読了日:03月20日 著者:米原 万里
巣立ち お鳥見女房巣立ち お鳥見女房
読了日:03月16日 著者:諸田 玲子
肩ごしの恋人 (集英社文庫)肩ごしの恋人 (集英社文庫)
読了日:03月11日 著者:唯川 恵
図書館の神様 (ちくま文庫)図書館の神様 (ちくま文庫)
読了日:03月01日 著者:瀬尾 まいこ

読書メーター
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2008年03月01日

2月の本読み(08年)

ウエザ・リポート ダイアルAを回せ (KAWADE MYSTERY)横浜開港絵巻 赤い崖の女借金取りの王子殿様の通信簿夜半の綺羅星 (小学館文庫 あ 5-2)武士道シックスティーン

『ウエザ・リポート』 宇江佐真理
 時代小説家だけに、作品から著者の日常を思い浮かべることがなかっただけに、新鮮な気持ちで読める。きっぱり、さっぱりした語り口が小気味よく、楽しい。夢中になって読んできた作品ができた背景をのぞいたようで、嬉しいような、申し訳ないような気分だけれど、作家さんのエッセイはやっぱりやめられない。

『ダイアルAを回せ』 ジャック・リッチー 駒月雅子他(訳)
 ジャック・リッチーの短編3作目。2作目はちょっと退屈したけれど、今回は楽しかった。さらっと楽しむに最適。

『横浜開港絵巻 赤い崖の女』 山崎洋子
 江戸末期から明治にかけての時代の流れと、小さな漁村に生まれた女性が、出自や身分にかかわらず自らの手で生きる糧を見つけ変わってゆくさまが重なる。10年ぶりくらいの、著者の作品を読んだら、むしょうに『花園の迷宮』が読みたくなってきた。

『借金取りの王子』 垣根涼介
 今の世相が不景気一色ではないせいか、一作目に比べて悲壮感やせっぱ詰まった感がゆるんで、明るい雰囲気。人員削減請負会社に勤める男性が主人公というのもおもしろいし、リストラ候補の面々の掘り下げ方も丁寧で、でてくる仕事の内情がかいま見える。
 一番おもしろかった表題作。極限を超えて、身をすり減らしてもなお働きたいと思わせるものはなになのか?それが分かったとき、働くということに潜む可能性に感動した。
 垣根涼介は、憎めないワルさと、脳天気な明るさを混ぜ合わせた、ワル明るさとでもいうようなものが持ち味だと思うけれど、それが絶妙な一冊。もう一回読みたい!

『丹生都比売』 梨木香歩
 身に巣くう人外と交わる力。人と外界をつなぐ者。そういったものが生きていた時代の、おとぎ話。

『殿様の通信簿』 磯田道史
 江戸時代、殿様の通信簿とでもいうような書き物があったというのも驚くが、それを地道に探ったというのもすごい。女好きだとか、政治手腕だとか、藩の経済状態だとか。歴史に疎くとも、しっかり楽しめた。

『夜半の綺羅星』 安住洋子
 目明かしの下っ引きの達造を主人公に、回想でつづられるお話は、どんどん先が気になるほど引き込まれる。後ろ暗い過去を持つものばかりが集まっているのに、お話が進んでその芯にあるものにふれると、また違うものに見えてくる不思議さ。お気に入りの時代小説家に追加。

『武士道シックスティーン』 誉田哲也
 剣道に打ち込む磯山香織。宮本武蔵に傾倒し、勝つためのストイックな剣道人生を送る少女。腕ならしに出場した市民大会で、無名の選手に負けてしまった。相手は、中学から剣道を始めたという、平凡でどこにでもいそうな少女。勝ち負けではない剣道をしたいという彼女と、勝負にこだわる香織の高校生活が瑞々しい。
 剣道という、精神性や礼儀を重んじる競技と、青春ってこんなにもぴったり合うんだと驚き。
 個人的には、男子剣道部部室を「置いたものが全部チーズになる」という表現が好き。剣道って、ほんとうに臭いなしには語れないものなぁ。

 今月は、ドラマ見たり、DVD見たりにかまけてしまって、読書量が著しく低下。時間がもっと欲しい。

ラベル:読書
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2008年02月02日

1月の本読み(08年)

トーキョー・プリズン 筋違い半介 千年の祈り (Shinchosha CREST BOOKS) 漢方小説 (集英社文庫 な 45-1) (集英社文庫 な 45-1)シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン にっぽん虫の眼紀行―中国人青年が見た「日本の心」 (文春文庫) シャッター切ってアジアを食す 吉岡清三郎貸腕帳 少女七竈と七人の可愛そうな大人 終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ (集英社新書)天平冥所図会

『トーキョー・プリズン』 柳広司
 戦時における罪や、人間というものが容易に残酷になれること、そして過ぎ去ったことに目を向けずに生きてゆけるものであるという不条理が、柳広司らしいそこはかとないユーモアで描かれる。ふと、自分はどうだろうと考えてしまう。

『筋違い半介』 犬飼六岐
 とにかく、出てくる人が多彩で、個性的でおもしろい!そのちょっと風変わりな人々が、物語の中でさらに思わぬ動きをしてくれる。いったい、どこでこんな人物造形を思いつくのだろう?おもしろい時代小説作家さんは、まだまだいるんだと思うと幸せな気分になる。

『千年の祈り』 シーユン・リー 篠森ゆりこ(訳)
 翻訳のよさもあるのだろうが、シンプルな文章は、言葉そのものの美しさを思い出させてくれる。日本語で読んでいながらも、中国の日常風景がキャンドルを灯すようにじんわりと浮かび上がってくる。ありきたりでないのに、普遍的な不思議な短篇集。

『漢方小説』 中島たい子
 体調を崩した主人公が、東洋医学に出会って少しずつ回復してゆくのを見ていると、漢方薬や中医に興味がわいてくる。なにか、飲み始めようかと真剣に考えてしまう。

『シー・ラブズ・ユー』 小路幸也
 『東京バンドワゴン』の続編。新しい人物も登場して、まだまだ続きそうな感じ。

『にっぽん虫の眼紀行』 毛丹青
 中国人でありながら、著者の書く日本語はそれをまったく感じさせないほどに流麗で美しいのに驚く。特に、自然風景の描写は読んでいてため息が出るほど。

『シャッターを切ってアジアを食す』 三留理男
 アジアの食は、多種多彩で、写真になるとほんとうに絵になる。市場に積み上げられた魚や野菜や果物の独特の色合いは、においたちそうなほど存在感あり。タイ料理がむしょうに食べたくなる。

『吉岡清三郎貸腕帳』 犬飼六岐
 またしても設定でぐいと引き込まれた。“貸し腕屋”という聞き慣れない商売を生業とするのは吉岡清三郎という、もとは商家出の男。悪人面で、容赦なし。冴えわたる腕でいともあっさり相手を斃すかと思えば、貸し腕代の利息を几帳面に帳簿付けしたりして、どことなく愛嬌がある。そして、借金のかたに下女として迎えた、おさえという女。あくまでも清三郎の目を通しての印象だけがつづられているのだが、その評価たるや、もう笑ってしまうほど。「冷気を感じさせるほど暗い」とか言って、その姿を見ては、どんよりしている清三郎の姿がおかしくて、おかしくて。陰気な様子をかいて、こんなにおかしいなんて、それこそおかしい。
 江戸情緒や、市井の人々の人情や、剣戟の痛快さのどれとも違う、一風変わったおもしろみが癖になりそう!最近の、いちばんのお気に入り!!

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹
 古風な言い回しや、会話が小さい北の町の閉塞感によく合っている。何度も出てくる“かんばせ”という言葉がなぜか印象的。

『終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ』 木村元彦
 ボスニア紛争では、ボスニア対セルビアという対立が主で分かりやすかったけれど、旧ユーゴ全体となると、どの地域でなにとなにが争っているのか、どちらが攻勢なのか、孤立しているのか、あまりに入り乱れて混乱しきり。これほどまでに、民族が分離し、衝突を繰り返してきたのだと思うと、やりきれない思いに押しつぶされそうな気がした。

『天平冥所図会』 山之口洋
 平安時代が舞台で、成仏できない幽霊や、地元の神様なども登場するファンタジー。かつて、人と霊や神の境目が今よりずっとゆるやかだった時代への、憧れのようなものがかいま見える。実在の人物たちのとらえ方も、おもしろくて、歴史に疎い私でも楽しめた。
ラベル:読書
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2008年01月28日

2007年の小説以外

三四郎はそれから門を出た 翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだったいつも旅のなか 打ちのめされるようなすごい本 大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード (文春文庫 た 63-1) ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫) サラーム・パックス―バグダッドからの日記 とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起



2007年の小説以外

 今さら2007年の本読みでもないのですが、小説以外で強く印象に残ったのものを8冊ほど選んでみました。というより、読んだもののほとんどが小説だったので、自然こんなことに。

『三四郎はそれから門を出た』 三浦しをん
 一度、図書館で借りて読んで、またよみたくなって単行本を購入して再読。本に対する熱い思いを感じながら、紹介されたものを一冊ずつ読んでゆく楽しみも味わえて、二度おいしい。

『翻訳家じゃなくカレー屋になるはずだった』
 
金原瑞人
 こんなエッセイを書く人が訳した作品なら読んでみたい!カレー屋じゃなく、翻訳家になってくれてありがとうと言いたいような気分。

『いつも旅のなか』 角田光代
 ほんわりとした風貌からは想像もつかない旅のしかたに、いつもながら驚かされます。そして、そんな旅をしている作者をうらやましく思い、旅の風景を瑞々しく文字にできることに憧れ……。旅本の角田光代は、やっぱりいい!

『打ちのめされるようなすごい本』 米原万里
 ずっと記憶に残りそうな、まさに打ちのめされたすごい本。ふだんは読まないような分野の本が、こんなにも魅力的に感じられるのは、おそらく筆者の語り口によるところが大きい。

『大仏破壊』 高木徹
 アフガニスタンのタリバン政権が、アルカイダとどうかかわり、ついにバーミヤンの大仏遺跡を破壊するまでに至ったのかが、周辺の人々への取材で明らかになってゆくさまがビリビリと伝わってくる。ニュースだけでは見えてこないイスラームの一面が見える。これで、アフガニスタンだけでなく、イスラームに関係したいろいろな本に興味が持てるようになった。

『ドキュメント戦争広告代理店』 高木徹
 『大仏破壊』の高木徹によるもう一つの本。こちらもかなり有名な一冊だけに、読み応え十分。多くの人が命を落とし、隣人同士が争い、民族によって国家が分断された一大事が、対岸の大国による広告戦略の一環で操られていくことが、とてつもなく恐ろしく、文字通り衝撃的だった。国一つが存在することを、考えずにはいられない。

『バグダッドからの日記』 サラーム・パックス 谷崎ケイ(訳)
 バグダッド在住のイラク人青年による、アメリカのイラク攻撃直前から、空爆が始まっていく日々の記録。自分と同じようにネットを見ている人のすぐそばに、爆弾が落とされ、町が燃えているという現実。この差はいったいなんなんだろう?そう思わずにはいられませんでした。

『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』 伊藤比呂美
 伊藤比呂美の文章は、とにかく中毒になる。読めば読むほど気持ちよくなって、止まらなくなってしまう。とにかく、読んで、読んで、読んで、読んで、そして焦り、また読み、浸る。そんな気分?

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2008年01月16日

2007年の本読み

クラブ・ポワブリエール  ウルティマ、ぼくに大地の教えを 弥勒の月 (文芸) 十面埋伏〈上〉 十面埋伏〈下〉 獣の奏者 II 王獣編 獣の奏者 I 闘蛇編 香港の甘い豆腐 花宵道中 家守綺譚 (新潮文庫) 凸凹デイズ はじまりの島 (創元推理文庫) 鹿男あをによし


2007年の10冊+αです。

『クラブ・ポワブリエール』 森福都
 中国時代物だけではなく、現代ものもおもしろい!連作集ならではの面白さにあふれていて、読んでゆくごとにそれぞれの繋がりを見つけては楽しんだ一冊です。


『ウルティマ、ぼくに大地の教えを』 ルドルフォ・アナヤ 金原瑞人(訳)
 翻訳家、金原瑞人のエッセイで紹介されていた作品。少年が少年でいられる最後の時間の清らかさと、属したことのない南米の世界観がまざりあって、不思議な浮遊感に包まれました。

『弥勒の月』 あさのあつこ
 あさのあつこの時代小説。読ませる話はこびもさることながら、主となる人物たちが魅力的。昨年末に続編となる作品が出たらしいので、そちらも楽しみ。

『十面埋伏(上・下)』 張平 荒岡啓子(訳)
 中国の刑務所を舞台にした、手に汗握る熱い男たちのドラマ。上下2巻からなる、分厚い作品にもかかわらず、あまりの面白さに一気に読んでしまう。中国らしい舞台設定が生きた、一級娯楽作品にどっぷり浸りました。

『獣の奏者(上・下)』 上橋菜穂子
 子どものころに読んでみたかったとも、今の年になったからこそ楽しめたとも思える、幅広い年齢層に応えられるであろう世界観が印象深い。ページを進めるたびに、見たことのない世界が広がってゆきます。


『香港の甘い豆腐』 大島真寿美
 大島真寿美という作家さんの、ゆるゆるとした空気感にはまりました。お話の中をただよって出てきたら、ちょっと足を踏み出せている、ぼんやり分かってきた、そういうほんの少しの実感が、癖になります。一気に作家読みするより、時間をかけて一冊ずつ読んでいきたくなる作家さんです。

『花宵道中』 宮木あや子
 身を売る女性の世界につきまとう受け身の悲壮感よりも、どこにあっても持っているであろう芯の強さで描かれた女性たちの話に、どこかほっとさせられます。女性ならでは…なんていう形容詞はあまり好きではないけれど、女性だから描ける物語かもしれません。女による女のためのR-18文学賞で大賞&読者賞に選ばれたことに納得。

『家守綺譚』 梨木香歩
 現とそうでないものが曖昧に入り混じった空間が、なんとも心地いい。読んでからずいぶんたつのに、ふっとしたときにそのときの不思議な高揚感が思い出される、あとをひく一冊。

『凸凹デイズ』 山本幸久
 小さなデザイン事務所が舞台となった、山本幸久らしい作品。瀬尾まいこ、大島真寿美と並び、個人的な“三大ふんわり系”と称することにしました。お話そのものは、かなりせっぱつまっていたり、シビアな現実に直面していたりするのに、語り口はあくまでもふんわり、やわらか。三者三様のふんわり具合があって、疲れたときでも、元気なときでも読みたくなります。

『慶応わっふる日記』 村田喜代子
 あえて、10冊の中に入れたものの、具体的にどこがどう好きとうまく表現できない一冊でもあります。30代くらいの作家さんの作品を読む機会が多くなってきていますが、それらとは違うなにか。少ない語り口で、大きなものを見せてもらえる安心感なのかもしれません。


10冊に入れたかったもの
『田辺聖子珠玉短篇集1』 田辺聖子
  文章に年齢というものがあるとしたら、田辺聖子のそれは永遠の20代なのかもしれないと思うほど、瑞々しさがあふれているのに、ただただ圧倒されました。
『はじまりの島』他 柳広司
 一冊を選ぶというよりも、気になる作家さんという意味での柳広司。思わず作家読みしてしまった中でも、ダーウィンが進化論を唱えるきっかけとなったできごとを描いたこれがおもしろかったです。
『鹿男あをによし』 万城目学
 読んでから、ドラマ化されると聞いてまさにタイムリーだったなと。ずっと読みたかった作家さん。奇想天外というのでしょうか、それなのになんの変哲もないふうに淡々としたところもあるのが、おもしろかったです。マイ鹿とか、鹿せんべいとか、鹿とか、鹿とか、鹿とか(以下略)。ポッキーと鹿せんべいが食べたくなりました。
 

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2007年09月03日

8月の本読み

それを言ったらおしまいよツ、イ、ラ、ク政治的に正しいおとぎ話葉桜の季節に君を想うということ銃とチョコレート (ミステリーランド)
宙(ソラ)の家 (角川文庫)空中ブランコ村田エフェンディ滞土録桃―もうひとつのツ、イ、ラ、ク (角川文庫 ひ 8-14)ほぼ日ブックス#006 石川くん (ほぼ日ブックス)
ザビエルの首 (講談社ノベルス)めぐる季節の話 (安房直子コレクション)エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集東京DOLL (講談社文庫)家守綺譚
シャドウ町長選挙ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫)

 うぅ、amazonの画像は大きさがばらばらで、並べてみてもどうにも気持ちわるいですが……。

『それを言ったらおしまいよ』 短い作品の中にも、独特の世界が広がって、何度も読み返してしまいます。新作が待ち遠しい〜〜。
『ツ、イ、ラ、ク』 前半、小学生時代の描写が秀逸。なんというか、読んでいるだけで妙に恥ずかしい気分になってしまうくらいドキドキする。

『政治的に正しいおとぎ話』 英語の原本を読めれば、数十倍は楽しめるんだろうな。日本語で読んでみると、どうも間が抜けたような脱力感が。
『葉桜の季節に君を想うということ』 なるほど、そうきたか!思い返せば、途中ところどころ、ひっかかるところがあったけれど、すっかり騙されました。小説だからできる仕掛けがお見事。

『銃とチョコレート』 少年の一大冒険譚。それでいて、出てくる人たちが、けっこうひねくれていて、ブラックなのが魅力的。少年も、お父さんも、お母さんも、いじめっ子も、探偵もみんないい!
『宙(ソラ)の家』 作者のデビュー作だそうです。ゆるゆるとした空気に、「だめでも、潜ってても、年とっててもいいんだよ」と励まされたような気分になる。パワー全開、元気もりもりじゃなく、ほんのちょびっとだけ前向きになったような気がするところがたまらなく好きです。

『空中ブランコ』 相変わらず、伊良部先生大暴走。ちょっと診察してほしい気分になる……。
『村田エフェンディ滞土録』 途中までは、村田氏のトルコ滞在記とでもいうような形。それが、次第に物語の奥底にもぐりこんでいくような、しっとりとした感覚に包まれます。

『桃−もうひとつのツ、イ、ラ、ク』 『ツ、イ、ラ、ク』の姉妹編ともいえる短篇集。
『ほぼ日ブックス#006 石川くん』 石川啄木、けっこう好きなのですが、こうしてみるとものすごいだめだめくんですね。

『聖フランシスコ・ザビエルの首』 日本にキリスト教を伝えた人、という程度しか思い浮かばないザビエル。なぞ解きも楽しみつつ、フランシスコ・ザビエルという人の来し方を追体験するような気分になれます。柳広司という作家さん、読みやすくて、おもしろくて、どんどん読みたくなりました。
『めぐる季節の話(安房直子コレクション)』 移りかわる季節とともに、物語が広がっていくようで、読むごとにため息が。

『エロマンガ島の三人』 楽しく読んだものの、正直よく分かりませんでした。
『東京DOLL』 石田衣良作品としては、物足りない気も。東京の土地勘や、実景が目に浮かべば、違う楽しみ方ができたかも。

『家守奇譚』 畳と縁側、床の間の掛け軸に、犬一匹。ときどきやってくる、不思議な客人たち。もしもかなうなら、この作品の主人公のような生活がしてみたいものです。
『シャドウ』 前回読んだ、同じ作者の作品が予想外の結末だったので、つい勘ぐりすぎて読んでしまいました。一気に読ませる力があって嫌いじゃないけれど、どうにも後にどんよりした澱のようなものが残るのが難点。

『町長選挙』 表題作がいちばん面白かった。田舎にありそうな、利権がらみ、しがらみだらけの選挙がおかしくも、もの悲しい。でも、それを嘲っているふうがないので、ほっとします。
『ドキュメント 戦争広告代理店』 戦争も、一国の行く末も、なんらかの意図が働けば、いともたやすく変わってしまうという現実にうちのめされます。果たして、自分が見ているものはどの一面なんだろうか?ネットやニュースで世界のことが手に取るように分かると思っていたことは、錯覚なのかもしれない、そんなことを考えさせられました。たまには、骨太な本もおもしろい。
ラベル:読書
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2007年08月02日

7月の本読み

ひとり暮し
 月に一冊は読みたくなる、赤川次郎。 
まよいこんだ異界の話
 子どものころに読んだ「ハンカチの上の花畑」。今読んでもどきどき、わくわく。いくつになっても、ここにあるような異界にふれるとなぜか、気持ちがざわめく。

幸福な食卓 (講談社文庫 (せ13-1))
 一見、のほほんとしているようで、それぞれが問題を抱えている家族。彼らがどこかに封をして見ないようにして調和をとっているところに、現れる他人の存在。その他人である主人公の同級生、兄の恋人のヨシコなどの描かれ方がとっても魅力的。毎日を過ごしていく中で失うものもあるけれど、だからこそ新しく出会えるものがあるんだと思えて元気が出ます。
ナラタージュ
 最後まで物語にのってゆけなかった。主人公の泉にもいらいらしたけれど、なによりも、高校演劇部の顧問だった葉山がだめでした。夜中に「心配だ」とかいって電話をするあたりに非常な嫌悪感を覚えて怒りながら読むことしきり。どうも、合わなかったようです。

たまには、時事ネタ
 共感する部分も多かったので、思いを代弁してもらえたようですっきり。ただこれは、著者の考えと違う部分が多いと、なかなかすんなり読めないような気も。
狐狸の恋 お鳥見女房
 矢島家は、まだまだ人が少なく淋しいけれど、登場人物たちの恋に動きが出てきて続きが楽しみ。

十日えびす 花嵐浮世困話
 実在のご近所トラブルを思わせるような人物が出てきてびっくり。家族が壊れて、また形を変えて絆ができて、生きていくことや、時間がたつことのもつ意味をしんみり味わえる。安心して読めるのが嬉しい連作集です。
ほどけるとける
 ゆるゆると続く文章に、初めは手応えのなさも感じたけれど、しばらくするとそれがもっと読みたいと思うほどの心地よさに変わっていく。

山桃寺まえみち
 小説というより、エッセイとして読むとしっくり。
漱石先生の事件簿 猫の巻 (ミステリーYA!)
 『吾輩は猫である』のエピソードを元にした、日常ミステリー。日常のちょっとした謎を解き明かしながら、日露戦争のあった時代が少し身近に思えてきます。しかし、漱石という人はあんなにも風変わりな人だったんでしょうか?おつにすました偉人よりは、親しみを感じました。

虚無への供物〈上〉 
虚無への供物〈下〉
 上巻を読んでいるときから、うすうす予感はしていたとおり、なんともいえない結末でした。殺人の動機と、それが分かったときの周囲の反応がいちばんの不思議。途中は、それなりに楽しめました。

見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)
 ちょっとずつ読んでいくのが楽しみになる。ほっとして、じんわりといい気分になります。
月魚
 二人の古書店主の男たちの関係が、もう少し艶めかしくなるのかと思いきや、意外にもどかしいまま。

ララピポ
 意味不明なタイトルの意味は、後半で明かされてすっきり、そして納得。
贋作『坊っちゃん』殺人事件
 吾輩は猫であるのみならず、坊ちゃんも全部読んでいないような気が……。でも、これを読むとちゃんとあらすじが分かるのでお得?

逆説探偵―13人の申し分なき重罪人
 重罪人とタイトルにあるものの、出てくる犯罪はさほど凶悪でも、鮮烈でもないので安心して読めます。が、解決パターンが途中までずっと同じなので、中盤で飽きてしまったのも事実。
花宵道中
 吉原を舞台にしながら、現代風味も加味された読み口は、時代小説に不慣れでもすぐになじめそう。そして、吉原で生きる女性たちの心の動きが切なく、愛おしい。また一人、次回作を絶対に読みたいと思える作家さんに出会いました。

趣味は読書。
 ベストセラーといっても、興味を持てるものばかりではないので、著者が変わりに読んで辛口に斬ってくれるという一石二鳥の本。そうか、そうだったんだ。
暗黒童話
 さわやかさと、残酷さがいりまじった不思議な世界。


 7月初めでbk1にリンクができなくなったので、今回からamazonに変更。ただ、画像を並べて貼るのがどうにもうまくいかず、今月はタイトルのみです。『漱石先生の事件簿』や『花宵道中』は表紙のデザインもきれいで、ぜひ画像つきで表示させたかったんですが、タグを変更したり、大きさを整えたり四苦八苦したもののどうにも納得いくものにならず……。来月までには、もう少し勉強しておくつもりです。
ラベル:読書
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2007年06月30日

6月の本読み

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『眠れぬ真珠』大人の恋愛。決して難解でも、エキセントリックでもなく、年齢の差があっても覗き見的ないやらしさもなく、楽しんで読める。男性作家の手による作品ということを、読んでいると忘れてしまう。
『安徳天皇漂海記』歴史に詳しい人にとっては、壮大でロマンあふれる面白いお話なんだろうことは分かるだけに、自分の歴史音痴がつくづく恨めしい。

『誤読日記』ありとあらゆる出版物を俎上に乗せながら、どれもしっかり語られていることに、ただひたすら驚く。
『愛すべき娘たち』BLではなく、女性を描いても、よしながふみは読ませるなぁと分かって、妙に嬉しくなった。

『イニシエーション・ラブ』表紙に「ミスエテリー・リーグ」とあるのに、読んでも、読んでも謎めいたところが出てこず、じりじり。最後の最後で、あっというどんでん返し…なんだろうけど、待ちくたびれて衝撃的な驚きとはいかず。86〜87年が舞台なので、テレホンカードなんかも出てきたのが、非常に懐かしかったです。
『空を飛ぶ恋』ケータイが登場する、短いお話。5分くらいずつ読んでいくのに、ちょうどいい長さ。

『ベジタブルハイツ物語』楽しく読みました。アパートの部屋に、アボカドとか、にんじんとか野菜の名前がついているのが、楽しかったです。以上!
『そろそろ旅へ モンゴルのおすそわけ』岸本葉子=旅もの、というイメージがあったけれど、癌を患われてから旅行は控えられていたというくだりでは、少なからずショックを受けました。それでも、軽快な語り口は健在で、一安心。写真も満載で、旅心が刺激されることうけあい。

『蒲公英草紙』目に見えぬものと、その世界に出会うお話に、現実と空想の間を浮遊するような感覚を呼び起こされたような気分。ただ、最後がどうにもしっくりこない。
『読者は踊る』ときどき、その辛口さ加減に食傷気味になるけれど、それでもやめられない。不思議です。

オンライン書店ビーケーワン:獣の奏者 1 オンライン書店ビーケーワン:獣の奏者 2

『獣の奏者(上・下)』
 “闘蛇”という動物が登場するファンタジー世界。読み始めると、一気にその世界が目の前に浮かんで、架空の動物たちや、それらが住まう洞窟、そこにいたる山道までが、現にそこに存在しているような気すらして、あっという間にお話の中に引き込まれていきます。

 エリンという主人公の少女。彼女の母は異民族でありながら、闘蛇という国にとって貴重な生き物の獣医師の職についていた。幼いころから、生き物にふれるのが当たり前の中で育った少女が、辛い母との別れを体験し、新しい道を歩いてゆく過程を描く物語。

 ファンタジーでありながら、少女も周りの人々も特別な能力を備えているのではなく、己の道に向かって突き進んでいくことで、可能性を大きく開かせてゆくその過程は、知りたい、分かりたい、理解したいという思いが、なにかを成し遂げてゆくことの喜びを思い出させてくれます。そういえば、子どものころには、読めない文字が分かるようになったり、テレビの言葉の意味が分かったり、そんなことが楽しかったような気がします。
 少女エリンが、ただひたすらに道をきわめようとする姿は、眩しくもあり、感動的でもあり。

 大人には、かつての感動を呼び起こすきっかけになるでしょうし、子どもたちが読めば、将来や、自分の可能性といったことに思いを馳せることができるかもしれません。
 でも、けっしてお説教くさいところはないので、物語世界にどっぷり浸って、思い切り楽しんでほしいお話です。
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2007年05月31日

5月の本読み

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『精霊の守り人』これぞ、探し求めていたファンタジー!ひっかからず、一気に読了。どっぷりと浸ることのできる豊かな世界観と、なにより人々が活き活きしている。30歳の女用心棒が主役というのがまたいい!

『ぱんだだ!』これと、↓の感想はこちらに→→→■■■
『パンダ育児日記』適当にページを開いては、パンダのかわいらしさにうっとり。あぁ、かわいいな〜♪

『モップの精は深夜に現れる』シリーズ2作目。さらっと楽しみつつも、会社の中にある人間関係にちょっとどんより。

『大奥』コミックの類は、際限がないので買うまいと思っているのに、最近また増殖中。しかも、こんなすごいものを見せられたおかげで、一気によしながふみ作品が繁殖してしまった。いや、とにかくすごい。ガツンとやられました。きれいな絵と、シンプルな線。そしてなにより物語と人物の奥行きに魅了される。早く続きが読みたくてしかたのない作品。
『執事の分際』作者買いしてしまった1冊。BLもので、なかなかに際どいというか、そのまんまのシーンもあるけれど、お話そのものもしっかりして○。
『ジェラールとジャック』本編もいいが、作品と作者の魅力をぴたりと文字に置き換えたような山本文子さんによる「解説」がまたよい。

『ソルフェージュ』短編集。冒頭の作品にある透明な恐怖感は初めての感覚。
『フラワー・オブ・ライフ』高校を舞台にした、青春もの。とはいえ、よしながふみだけに一筋縄ではいかない。ソフトなBL味と、美形なオタク青年などなど、ちょっと不思議な学園物。もう、大笑いしながら読みました。こちらも、続きがもっと見たいぞ。

『夢のような幸福』今月の三浦しをん作品は、これだけながら、彼女のエッセイを読むだけで、幸福の極み。
『西洋骨董洋菓子店』再放送していた同名ドラマをちらっと見たことがあるけれど、なんかまったく別物だったような気が?確かに、原作通りをドラマ化は難しいだろうな…。さまざまなエピソードが、ラストに向かってうねるような収束とはいかないところもあって、ちょっと肩すかしをくらったような気もするけれど、それも作者の意図の内かと思えてくる。その淡泊さが、意外な余韻となる。お話としては、魔性のゲイのくだりがおかしくて大好き。

『ア・ハッピーファミリー』題名とはうらはらに、アンハッピーなことが次々起こってゆくのに、やっぱりハッピーなのかなと思える空気に安心感を覚える。
『幽霊人命救助隊』出だしの勢いがいいだけに、途中が単調に思えて中だるみ感があるものの、人の生き死について考えさせられ、後を引く読後感。

『本当はちがうんだ日記』文字ひとつひとつ、文ひとくぎりずつを読むのがこんなに楽しいって、嬉しい。寝る前の布団の中で読むと、よさ加減ぐっと上昇。
『アルキメデスは手を汚さない』学生のころに一度読んだことがあるはず。中身は忘れていたけれど、タイトルはよく覚えている。今から30年以上も前の作品なので、時代の差を感じるところもあるけれど、総体的にはさして気にならない。一気に読まされた。

『闇の守り人』『精霊の守り人』の続編。バルサという女性の生い立ちが明らかになり、過去に対峙する物語は、幻想と強靱さと痛みを伴い、何歳であっても楽しめるつくりになっている。
『作家の手紙』編集者に借金を依頼するとか、ファンから長編原稿が送られてきたとき、隣の木が敷地にはみ出しているのを伝えるなんていう架空の場面設定がされた手紙に笑いました。
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2007年05月01日

『4月の本読み』

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『シャングリ・ラ』炭素経済が支配する近未来の世界像は、さもありなんというふうでよく練られて、圧倒された。が、その世界が作られたいきさつが分かってゆく後半は失速気味かな?登場人物がだんだんゾンビめいてくるのも、ちょいと不気味。
『極め道』ひとこと、楽しい!4月も三浦しをん祭りは続きます。

『秘密 私と私のあいだの十二話』短編も短編。うんと短くて、ぐんぐん読める。こんなに少ない文字数でも、作家さんの個性が出るんだと分かる。
『むかしのはなし』ごく日常的な現代のお話と思わせて、実は、現実との微妙なずれを持つ違う世界のお話と分かる。そこはかとない、おかしみを抱えた人たちが魅力的。エッセイもいいが、こういう味わいもいい!

『からくりアンモラル』ちょっとエッチな短編がずらり。おもしろいけれど、こういうのは苦手だ。
『しゃぼん』これも、性を前面に出して扱うタイプのお話。一つ目の作品は挫折しそうになったけれど、あとの三作はあっという間に読了。性の向こうから透けて見えるものが切ない。

『向日葵の咲かない夏』夢と現実の境目が、読めば読むほど曖昧になってゆく。全部読み終えて、すべてが多感な少年の空想なのではとすら思う。味わったことのない、クラクラするような感覚が残る。
『青葉の頃は終わった』登場人物が、だれもかれも自意識過剰気味で、重い気分に……。題名はさわやかなんだけれど。

『クレオパトラの夢』初・恩田陸作品。さすがに人気の方だけあって、物語も文章も流れるようになめらか。もう1〜2作品読んでみたいような、そうでもないような。
『いつも旅のなか』人の旅のスタイルを疑似体験するのは楽しい。ましてや、自分が決してできないような形ならなおさら。やっぱり、旅はいいなと、空を見上げたくなる。

『にょっ記』出来事ではなく、言葉そのものの響きや、表現で笑ったというのは初めてかもしれない。とにかく、笑った、笑った!
『天使はモップを持って』ビルの清掃員の女の子が主人公というのが、まず面白い。ゴミを見れば、職場や人が分かるというのもいい。てきぱき掃除してゆく主人公が、かっこよく見える。

『k。m。p。のチェンマイアパート日記』k。m。p。待望の新刊!今度は、ホテルではなく、現地にアパートを借りて住んでしまうという旅の形。ちまっとしたイラストに、手書き文字が満載で、にんまりしながら読んで、チェンマイに滞在したような気分になる。
『まほろ駅前多田便利軒』作者の好きな世界を爆発させたような小説だと思った。便利屋の多田と、彼のもとにころがりこむ謎めいた男の物語は、ユーモアたっぷり。

『十三歳の仲人』平岩弓枝の、「御宿かわせみ」シリーズの最新文庫。どんどん大きくなる子どもたちに、親戚の子の成長でも見守るような気分になる。
『桃色トワイライト』なにも言うことなし。

『私の家は山の向こう』アジアの歌姫と呼ばれたテレサ・テンの伝記。感想はこちらに→→→■■■
『聞き屋与平』ただただ人の話を聞く、“聞き屋”という不思議な仕事をする与平。いつものように、市井の人の暮らしが丹念につづられて、ほんのり気分が温かくなる。

『10ドルだって大金だ』ジャック・リッチーの短編集。さくっと読んで、にやっとするにはうってつけ。
『秘密の花園』白黒つかない結末なのに、さほどもどかしい感じがしないところが不思議。女子校のまったくタイプの違う3人の、それぞれの心のうちにあるものは、どれも静かにたぎっている。ふと、“すさまじい”という形容を思い浮かべた。

『なまくら』地の底を這うような暮らしの中にある、一筋の光と、それを手にするさまを描いた短編集。若いということは、力強いものなのだなと思える。
『13階段』人を殺した後、仮出所をした青年。彼のもとに訪れた休職中の刑務官の頼みで、ある死刑囚の冤罪を晴らすという仕事を手伝うこととなる。死刑とはなんなのか、人が人を殺すこととはなんなのかを問う、骨太のミステリー。冤罪事件の解明と、謎を追う青年と刑務官の過去とが徐々に明らかになっていく過程は、心に石でも沈められたような重々しさがあるのに、完全にうちひしがれた気分にならないところに救いがある。作者の視線が、罪を犯した者、被害にあった者、さらに裁かれながら悔いることのない者にまで注がれているからかもしれない。
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2007年04月05日

3月の本読み

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『どろろ』面白いな〜。前半の丁寧さに較べて、後半はかなり急ぎ足だったのは、連載の都合かなにかなんだろうか?
『シーセッド・ヒーセッド』シリーズものの第3作目と知らずに読んでも、十分楽しめた。主人公の暖かさがにじみでて、いい気分。
『ドスコイ警備保障』作り込まれた重厚さのようなものはないけれど、出てくる人がみんなおかしくて、いい人で、ほっとする。
『にわか大根』またしても、シリーズものの3作目から読んでしまったのに、やっぱり面白い。
『セネシオ』森福作品としては、ちょっと物足りない。主人公の意図するところが、最後まで分からなくて……
『若かった日々』ある女性の来し方をつづった連作短編。時間を短い断片できりとっているので、途中で果たしてこれがつながったお話なのか、独立した短編なのか分からなくなる。でも、その不思議な感覚がいやではない。
『陽気なギャングが地球を回す』相性が今ひとつなのに、なぜか伊坂作品を手にしてしまう……
『二人道成寺』歌舞伎の世界が舞台。妖艶さの中に、哀感が漂う。
『人のセックスを笑うな』よく分かりませんでした…以上。
『ウルティマ、ぼくに大地の教えを』アメリカ南部、少年が無垢でいられた最後の日々がつづられていく。時代を経て引き継がれてゆくものと、喪われるものとの二つが立ちはだかる中を生きていく少年が清らか。メキシコ系作家の小説だけに、アメリカの社会にはこんな一面があるんだと興味深かった。
『黄泉路の犬』愛らしい表紙や、軽いタッチとは裏腹に、なかなか複雑な気分になる題材だった。
『愚者のエンドロール』“古典部シリーズ”の2作目。お気に入りキャラに、もう少し活躍してほしかった。
『卒業』電車で読むには適さない一冊だと痛感。夢中になりすぎて一駅乗り過ごすし、花粉症のふりをして鼻をすすらなくちゃいけいないし……。
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2007年02月28日

2月の本読み

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『娼年』体を売るという行為を、やましさとは違う一面として見せることで、いやらしさを感じさせず、一種の成長物語に作り上げている手腕は、さすが石田衣良!
『大修院長ジュスティーヌ』がんじがらめに縛られた因習の中に、孤軍奮闘する三編の物語。
『階段途中のビッグ・ノイズ』途中、文の主体となる目線が不意に変わるところがあって、ちょっととまどうが、それを補ってあまりある瑞々しさ。あぁ、青春って眩しい。
『ぼくのいつか見た部屋』人の部屋というものに、すごーく興味あり。本に出てくるような気持ちのいい部屋にするには、まず掃除か……。
『乙女なげやり』先月読んだ『妄想炸裂』の表紙イラストは“はちクロ”の羽海野チカ、今度は“のだめ”の二ノ宮知子。豪華。もちろん、中身でもやっぱり大笑い。
『さよなら、スナフキン』限りなく後ろ向きの女性が、不器用にあがく姿がじれったくて、情けなくて。なんとか幸せをつかんでほしいと思うのに、まったくもって期待に応えてくれない、裏切られた感いっぱい。それでも、どうしても最後まで目が離せなくて、見届けずにはいられない。文庫本の表紙が、とっても美麗です。
『赤い竪琴』漂うような、男と女のつながりが、どうにものりきれず、水が合わないまま終わるかと思いきや、最後ですっと向こうから迫ってきてくれて、すっきりとして読了。
『ロマンス小説の七日間』現代の恋愛部分よりも、劇中どんどん“発展”していく浪漫小説の先行きが気になって、気になって。
『恋いちもんめ』ずっと昔、江戸という町に、いろんな人が今の私たちと同じようなことを考えながら暮らしていたんだろうな…そう、思える空気に酔った。
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