2008年03月01日

2月の本読み(08年)

ウエザ・リポート ダイアルAを回せ (KAWADE MYSTERY)横浜開港絵巻 赤い崖の女借金取りの王子殿様の通信簿夜半の綺羅星 (小学館文庫 あ 5-2)武士道シックスティーン

『ウエザ・リポート』 宇江佐真理
 時代小説家だけに、作品から著者の日常を思い浮かべることがなかっただけに、新鮮な気持ちで読める。きっぱり、さっぱりした語り口が小気味よく、楽しい。夢中になって読んできた作品ができた背景をのぞいたようで、嬉しいような、申し訳ないような気分だけれど、作家さんのエッセイはやっぱりやめられない。

『ダイアルAを回せ』 ジャック・リッチー 駒月雅子他(訳)
 ジャック・リッチーの短編3作目。2作目はちょっと退屈したけれど、今回は楽しかった。さらっと楽しむに最適。

『横浜開港絵巻 赤い崖の女』 山崎洋子
 江戸末期から明治にかけての時代の流れと、小さな漁村に生まれた女性が、出自や身分にかかわらず自らの手で生きる糧を見つけ変わってゆくさまが重なる。10年ぶりくらいの、著者の作品を読んだら、むしょうに『花園の迷宮』が読みたくなってきた。

『借金取りの王子』 垣根涼介
 今の世相が不景気一色ではないせいか、一作目に比べて悲壮感やせっぱ詰まった感がゆるんで、明るい雰囲気。人員削減請負会社に勤める男性が主人公というのもおもしろいし、リストラ候補の面々の掘り下げ方も丁寧で、でてくる仕事の内情がかいま見える。
 一番おもしろかった表題作。極限を超えて、身をすり減らしてもなお働きたいと思わせるものはなになのか?それが分かったとき、働くということに潜む可能性に感動した。
 垣根涼介は、憎めないワルさと、脳天気な明るさを混ぜ合わせた、ワル明るさとでもいうようなものが持ち味だと思うけれど、それが絶妙な一冊。もう一回読みたい!

『丹生都比売』 梨木香歩
 身に巣くう人外と交わる力。人と外界をつなぐ者。そういったものが生きていた時代の、おとぎ話。

『殿様の通信簿』 磯田道史
 江戸時代、殿様の通信簿とでもいうような書き物があったというのも驚くが、それを地道に探ったというのもすごい。女好きだとか、政治手腕だとか、藩の経済状態だとか。歴史に疎くとも、しっかり楽しめた。

『夜半の綺羅星』 安住洋子
 目明かしの下っ引きの達造を主人公に、回想でつづられるお話は、どんどん先が気になるほど引き込まれる。後ろ暗い過去を持つものばかりが集まっているのに、お話が進んでその芯にあるものにふれると、また違うものに見えてくる不思議さ。お気に入りの時代小説家に追加。

『武士道シックスティーン』 誉田哲也
 剣道に打ち込む磯山香織。宮本武蔵に傾倒し、勝つためのストイックな剣道人生を送る少女。腕ならしに出場した市民大会で、無名の選手に負けてしまった。相手は、中学から剣道を始めたという、平凡でどこにでもいそうな少女。勝ち負けではない剣道をしたいという彼女と、勝負にこだわる香織の高校生活が瑞々しい。
 剣道という、精神性や礼儀を重んじる競技と、青春ってこんなにもぴったり合うんだと驚き。
 個人的には、男子剣道部部室を「置いたものが全部チーズになる」という表現が好き。剣道って、ほんとうに臭いなしには語れないものなぁ。

 今月は、ドラマ見たり、DVD見たりにかまけてしまって、読書量が著しく低下。時間がもっと欲しい。

ラベル:読書
posted by あんく at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ○月の本読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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