2008年01月28日

2007年の小説以外

三四郎はそれから門を出た 翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだったいつも旅のなか 打ちのめされるようなすごい本 大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード (文春文庫 た 63-1) ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫) サラーム・パックス―バグダッドからの日記 とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起



2007年の小説以外

 今さら2007年の本読みでもないのですが、小説以外で強く印象に残ったのものを8冊ほど選んでみました。というより、読んだもののほとんどが小説だったので、自然こんなことに。

『三四郎はそれから門を出た』 三浦しをん
 一度、図書館で借りて読んで、またよみたくなって単行本を購入して再読。本に対する熱い思いを感じながら、紹介されたものを一冊ずつ読んでゆく楽しみも味わえて、二度おいしい。

『翻訳家じゃなくカレー屋になるはずだった』
 
金原瑞人
 こんなエッセイを書く人が訳した作品なら読んでみたい!カレー屋じゃなく、翻訳家になってくれてありがとうと言いたいような気分。

『いつも旅のなか』 角田光代
 ほんわりとした風貌からは想像もつかない旅のしかたに、いつもながら驚かされます。そして、そんな旅をしている作者をうらやましく思い、旅の風景を瑞々しく文字にできることに憧れ……。旅本の角田光代は、やっぱりいい!

『打ちのめされるようなすごい本』 米原万里
 ずっと記憶に残りそうな、まさに打ちのめされたすごい本。ふだんは読まないような分野の本が、こんなにも魅力的に感じられるのは、おそらく筆者の語り口によるところが大きい。

『大仏破壊』 高木徹
 アフガニスタンのタリバン政権が、アルカイダとどうかかわり、ついにバーミヤンの大仏遺跡を破壊するまでに至ったのかが、周辺の人々への取材で明らかになってゆくさまがビリビリと伝わってくる。ニュースだけでは見えてこないイスラームの一面が見える。これで、アフガニスタンだけでなく、イスラームに関係したいろいろな本に興味が持てるようになった。

『ドキュメント戦争広告代理店』 高木徹
 『大仏破壊』の高木徹によるもう一つの本。こちらもかなり有名な一冊だけに、読み応え十分。多くの人が命を落とし、隣人同士が争い、民族によって国家が分断された一大事が、対岸の大国による広告戦略の一環で操られていくことが、とてつもなく恐ろしく、文字通り衝撃的だった。国一つが存在することを、考えずにはいられない。

『バグダッドからの日記』 サラーム・パックス 谷崎ケイ(訳)
 バグダッド在住のイラク人青年による、アメリカのイラク攻撃直前から、空爆が始まっていく日々の記録。自分と同じようにネットを見ている人のすぐそばに、爆弾が落とされ、町が燃えているという現実。この差はいったいなんなんだろう?そう思わずにはいられませんでした。

『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』 伊藤比呂美
 伊藤比呂美の文章は、とにかく中毒になる。読めば読むほど気持ちよくなって、止まらなくなってしまう。とにかく、読んで、読んで、読んで、読んで、そして焦り、また読み、浸る。そんな気分?

タグ:読書
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2008年01月16日

2007年の本読み

クラブ・ポワブリエール  ウルティマ、ぼくに大地の教えを 弥勒の月 (文芸) 十面埋伏〈上〉 十面埋伏〈下〉 獣の奏者 II 王獣編 獣の奏者 I 闘蛇編 香港の甘い豆腐 花宵道中 家守綺譚 (新潮文庫) 凸凹デイズ はじまりの島 (創元推理文庫) 鹿男あをによし


2007年の10冊+αです。

『クラブ・ポワブリエール』 森福都
 中国時代物だけではなく、現代ものもおもしろい!連作集ならではの面白さにあふれていて、読んでゆくごとにそれぞれの繋がりを見つけては楽しんだ一冊です。


『ウルティマ、ぼくに大地の教えを』 ルドルフォ・アナヤ 金原瑞人(訳)
 翻訳家、金原瑞人のエッセイで紹介されていた作品。少年が少年でいられる最後の時間の清らかさと、属したことのない南米の世界観がまざりあって、不思議な浮遊感に包まれました。

『弥勒の月』 あさのあつこ
 あさのあつこの時代小説。読ませる話はこびもさることながら、主となる人物たちが魅力的。昨年末に続編となる作品が出たらしいので、そちらも楽しみ。

『十面埋伏(上・下)』 張平 荒岡啓子(訳)
 中国の刑務所を舞台にした、手に汗握る熱い男たちのドラマ。上下2巻からなる、分厚い作品にもかかわらず、あまりの面白さに一気に読んでしまう。中国らしい舞台設定が生きた、一級娯楽作品にどっぷり浸りました。

『獣の奏者(上・下)』 上橋菜穂子
 子どものころに読んでみたかったとも、今の年になったからこそ楽しめたとも思える、幅広い年齢層に応えられるであろう世界観が印象深い。ページを進めるたびに、見たことのない世界が広がってゆきます。


『香港の甘い豆腐』 大島真寿美
 大島真寿美という作家さんの、ゆるゆるとした空気感にはまりました。お話の中をただよって出てきたら、ちょっと足を踏み出せている、ぼんやり分かってきた、そういうほんの少しの実感が、癖になります。一気に作家読みするより、時間をかけて一冊ずつ読んでいきたくなる作家さんです。

『花宵道中』 宮木あや子
 身を売る女性の世界につきまとう受け身の悲壮感よりも、どこにあっても持っているであろう芯の強さで描かれた女性たちの話に、どこかほっとさせられます。女性ならでは…なんていう形容詞はあまり好きではないけれど、女性だから描ける物語かもしれません。女による女のためのR-18文学賞で大賞&読者賞に選ばれたことに納得。

『家守綺譚』 梨木香歩
 現とそうでないものが曖昧に入り混じった空間が、なんとも心地いい。読んでからずいぶんたつのに、ふっとしたときにそのときの不思議な高揚感が思い出される、あとをひく一冊。

『凸凹デイズ』 山本幸久
 小さなデザイン事務所が舞台となった、山本幸久らしい作品。瀬尾まいこ、大島真寿美と並び、個人的な“三大ふんわり系”と称することにしました。お話そのものは、かなりせっぱつまっていたり、シビアな現実に直面していたりするのに、語り口はあくまでもふんわり、やわらか。三者三様のふんわり具合があって、疲れたときでも、元気なときでも読みたくなります。

『慶応わっふる日記』 村田喜代子
 あえて、10冊の中に入れたものの、具体的にどこがどう好きとうまく表現できない一冊でもあります。30代くらいの作家さんの作品を読む機会が多くなってきていますが、それらとは違うなにか。少ない語り口で、大きなものを見せてもらえる安心感なのかもしれません。


10冊に入れたかったもの
『田辺聖子珠玉短篇集1』 田辺聖子
  文章に年齢というものがあるとしたら、田辺聖子のそれは永遠の20代なのかもしれないと思うほど、瑞々しさがあふれているのに、ただただ圧倒されました。
『はじまりの島』他 柳広司
 一冊を選ぶというよりも、気になる作家さんという意味での柳広司。思わず作家読みしてしまった中でも、ダーウィンが進化論を唱えるきっかけとなったできごとを描いたこれがおもしろかったです。
『鹿男あをによし』 万城目学
 読んでから、ドラマ化されると聞いてまさにタイムリーだったなと。ずっと読みたかった作家さん。奇想天外というのでしょうか、それなのになんの変哲もないふうに淡々としたところもあるのが、おもしろかったです。マイ鹿とか、鹿せんべいとか、鹿とか、鹿とか、鹿とか(以下略)。ポッキーと鹿せんべいが食べたくなりました。
 

タグ:読書
posted by あんく at 23:36| Comment(0) | TrackBack(1) | ○月の本読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月03日

『風が強く吹いている』

風が強く吹いている
風が強く吹いている
posted with amazlet on 08.01.03
三浦 しをん
新潮社 (2006/09/21)
売り上げランキング: 398
 元旦は、実業団駅伝を、2日と3日は箱根駅伝を見て過ごすというのが、ここ何年もの年始の定番です。暦の具合で、まとまった休みがとれそうなときには旅行にでも…と思うものの、駅伝なしのお正月はどうにも耐えられそうにないので、けっきょくこたつで駅伝三昧に落ち着きます。

 そして今年こそは、この作品を読みながら駅伝を楽しむぞと決めていました。早く読み始めたいという思いをぐっと押さえ込んでいただけに、おもしろいこと、おもしろいこと。

 床の抜けそうなボロアパート竹青荘の住人たちが、ほとんどなりゆきで箱根駅伝に挑む物語。陸上経験がないものがほとんど、しかもエントリーぎりぎりの10人だけの部員。果たして、清瀬灰二率いる寛政大学陸上部員たちは、箱根駅伝に出場できるのか……。

 駅伝をなぜこんなに必死に見入ってしまうのか、毎年テレビの中を駆ける学生たちの姿を見ながら浮かんでくる思いです。しんどい思いをして、なんで20キロ以上の道を走るんだろう?そして、それを何時間も見続ける自分も、つくづく酔狂だなと。それでも、見ずにはおれないし、目が離せなくなる。
 そのわけを、ほんの少し分かったような気分になれるのです。
 自分では決してのぞくことのできない、速く走ることで得られる世界が、文字となってこちら側に迫ってくる。あたかも自分が、大地を蹴って走っているかのような恍惚とした気分が味わえます。

 走ることに、一度も楽しみを感じたことなどないのに、明日から走ってみようか…読み終わると、そんなことを考えていることに気づきます。

 文字を追いながら、画面の中には現実の箱根駅伝。彼らの姿があるからこそ、この作品の人物たちがいきいきと躍動してくれたような気がします。物語に負けず劣らず、風を受けて走った2008年の箱根駅伝ランナーとそれを支えた人たちに、感謝します。
 来年も、この一冊を読みながら、箱根駅伝を見るかもしれません。

posted by あんく at 20:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 ま〜わ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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