2007年08月22日

『あるきかたがただしくない』

あるきかたがただしくない
枡野 浩一
朝日新聞社 (2005/12)
売り上げランキング: 57730


 いつも楽しみに見ているblogで絶賛されていて、前から気になっていたので読んでみました。

 エッセイですが、ひたすらに「別れた妻が、子どもに1ヵ月に1度は会わせるという裁判での約束を守らず、行方をくらましてしまった。子どもに会わせてほしい」ということが、これでもか、これでもかと書かれています。
 なんといいますか、非常に執拗で、情けなくて、じめっとしていて、元気が奪われていくような気分になります。が、一冊とおして全部この調子だと、人というのは慣れるものなのですね。最後の方では、どこからこの話題につながっていくのか、ちょっと心待ちにしてすらいることに気づきます。

 これほどまでに、私的なメールや、日記などではなく、れっきとした大衆の目に触れる場で、これほどまでに赤裸々に「子どもに会いたい」と訴え続けられるこの思いの強さというか、まっすぐ具合。圧倒されます。

 こんなに強く思っているんだから、相手の方も子どもに会わせてあげればいいのにな、と思ったり。
 反対に、ここまで外堀を埋められても頑なに会わせない元妻のエネルギーもすごいなと、変に感心したり。
 しかし、善し悪しではなく、ここまで激しい二人の周りにいる人も大変だったでしょうね。どちらかに肩入れしていた人も、そうでない人もなんらかの形で巻き込まれてしまったことを思うと、離婚というのは一筋縄ではいかないものなんだなと、人ごとながら考えてしまいました。

 途中にある、元妻にあてた手紙。読んだときには気づきませんでしたが、以前読んだ『作家の手紙』にも収録されていたんですね。こうしてこの本を読み、もう一度読み返してみると、なんとも切ない。
 男女の間は、理屈ではどうにもならないけれど、親と子はそれとは違う意味で不思議な縁があるもののような気がします。
 いつか、この本なり、手紙を子どもさんたちが読んでくれる機会があることを願います。
posted by あんく at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 ま〜わ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月10日

『魍魎の匣』キャスト

 京極夏彦原作の『魍魎の匣』が映画化されるそうで、公式サイトをのぞいみました。
 まだ製作発表しか見るところはないんですが、ここにある監督、原作者、出演者の並んだ写真にしばし目が釘付けになります。顔、というより頭蓋骨の大きさがこんなにも違うなんて、神秘的ですらあります。よくぞこの狭い日本に、こんなにも顔立ちや骨格の違う人たちが集まったものだと。

 ……と、そんなことよりも、前作とキャストが変わっているのですね。しかも、関口巽役が永瀬正敏さんから、椎名桔平さんに。前作で、永瀬さんがあんまりにも関口役にぴったりだっただけに、ちょっと驚きです。椎名桔平さんは、関口というよりも京極堂のほうにイメージが近いような気がするのですが。

 初めて京極堂シリーズを読んだとき、勝手にキャスティングしてみたことがあります。かれこれ10年くらい前のことなので、主要な人物しか覚えていないし、隔世の感がなきにしもあらずですが、我ながらなかなか気に入って、その後のシリーズを読むときは脳内変換していました。

 中禅寺秋彦(京極堂):思い浮かばず…
 榎木津礼二郎:阿部寛
 関口巽:堤真一
 木場修太郎:今井雅之

 10年くらい前は、堤真一さんというと舞台が中心で、テレビで見る役は、ちょっと暗い青年や、犯罪に走ってしまう小心な人が多かったので、関口役と思ったのですが、まさか京極堂とはねぇ……。
 シリーズの中では、いちばん好きな作品だけに、どんな映像になるんでしょう?

 公式サイトはこちら→→→■■■

posted by あんく at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月02日

7月の本読み

ひとり暮し
 月に一冊は読みたくなる、赤川次郎。 
まよいこんだ異界の話
 子どものころに読んだ「ハンカチの上の花畑」。今読んでもどきどき、わくわく。いくつになっても、ここにあるような異界にふれるとなぜか、気持ちがざわめく。

幸福な食卓 (講談社文庫 (せ13-1))
 一見、のほほんとしているようで、それぞれが問題を抱えている家族。彼らがどこかに封をして見ないようにして調和をとっているところに、現れる他人の存在。その他人である主人公の同級生、兄の恋人のヨシコなどの描かれ方がとっても魅力的。毎日を過ごしていく中で失うものもあるけれど、だからこそ新しく出会えるものがあるんだと思えて元気が出ます。
ナラタージュ
 最後まで物語にのってゆけなかった。主人公の泉にもいらいらしたけれど、なによりも、高校演劇部の顧問だった葉山がだめでした。夜中に「心配だ」とかいって電話をするあたりに非常な嫌悪感を覚えて怒りながら読むことしきり。どうも、合わなかったようです。

たまには、時事ネタ
 共感する部分も多かったので、思いを代弁してもらえたようですっきり。ただこれは、著者の考えと違う部分が多いと、なかなかすんなり読めないような気も。
狐狸の恋 お鳥見女房
 矢島家は、まだまだ人が少なく淋しいけれど、登場人物たちの恋に動きが出てきて続きが楽しみ。

十日えびす 花嵐浮世困話
 実在のご近所トラブルを思わせるような人物が出てきてびっくり。家族が壊れて、また形を変えて絆ができて、生きていくことや、時間がたつことのもつ意味をしんみり味わえる。安心して読めるのが嬉しい連作集です。
ほどけるとける
 ゆるゆると続く文章に、初めは手応えのなさも感じたけれど、しばらくするとそれがもっと読みたいと思うほどの心地よさに変わっていく。

山桃寺まえみち
 小説というより、エッセイとして読むとしっくり。
漱石先生の事件簿 猫の巻 (ミステリーYA!)
 『吾輩は猫である』のエピソードを元にした、日常ミステリー。日常のちょっとした謎を解き明かしながら、日露戦争のあった時代が少し身近に思えてきます。しかし、漱石という人はあんなにも風変わりな人だったんでしょうか?おつにすました偉人よりは、親しみを感じました。

虚無への供物〈上〉 
虚無への供物〈下〉
 上巻を読んでいるときから、うすうす予感はしていたとおり、なんともいえない結末でした。殺人の動機と、それが分かったときの周囲の反応がいちばんの不思議。途中は、それなりに楽しめました。

見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)
 ちょっとずつ読んでいくのが楽しみになる。ほっとして、じんわりといい気分になります。
月魚
 二人の古書店主の男たちの関係が、もう少し艶めかしくなるのかと思いきや、意外にもどかしいまま。

ララピポ
 意味不明なタイトルの意味は、後半で明かされてすっきり、そして納得。
贋作『坊っちゃん』殺人事件
 吾輩は猫であるのみならず、坊ちゃんも全部読んでいないような気が……。でも、これを読むとちゃんとあらすじが分かるのでお得?

逆説探偵―13人の申し分なき重罪人
 重罪人とタイトルにあるものの、出てくる犯罪はさほど凶悪でも、鮮烈でもないので安心して読めます。が、解決パターンが途中までずっと同じなので、中盤で飽きてしまったのも事実。
花宵道中
 吉原を舞台にしながら、現代風味も加味された読み口は、時代小説に不慣れでもすぐになじめそう。そして、吉原で生きる女性たちの心の動きが切なく、愛おしい。また一人、次回作を絶対に読みたいと思える作家さんに出会いました。

趣味は読書。
 ベストセラーといっても、興味を持てるものばかりではないので、著者が変わりに読んで辛口に斬ってくれるという一石二鳥の本。そうか、そうだったんだ。
暗黒童話
 さわやかさと、残酷さがいりまじった不思議な世界。


 7月初めでbk1にリンクができなくなったので、今回からamazonに変更。ただ、画像を並べて貼るのがどうにもうまくいかず、今月はタイトルのみです。『漱石先生の事件簿』や『花宵道中』は表紙のデザインもきれいで、ぜひ画像つきで表示させたかったんですが、タグを変更したり、大きさを整えたり四苦八苦したもののどうにも納得いくものにならず……。来月までには、もう少し勉強しておくつもりです。
タグ:読書
posted by あんく at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ○月の本読み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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