2007年07月28日

打越役、吉沢悠さん

 美容院で雑誌を見ていたら、今日から全国公開された『夕凪の街 桜の国』に打越役で出演した吉沢悠さんのインタビュー記事がありました。
 2005年4月ころから、1年間くらい俳優業を休んで留学していらしたんですね。そして、芸能活動を再開してからは、名前も吉沢悠(ゆう)から本名の吉沢悠(ひさし)に変えているとか。そうか、まったく知りませんでした。

 『夕凪の街 桜の国』の広島ロケは、この間劇場でもらってきた「ロケ地マップ」によると、2006年8月とありますから復帰後まもなくの撮影だったんでしょうか?
 うん、これでなんとなく納得。なんというか、スクリーンの打越さんは、本当に一般の人から出演者を募りましたと言われても納得してしまいそうな雰囲気でしたから。ほんとうに普通に町の中に働いて、歩いていそうな空気は、主演の女性陣二人とは違う意味で、魅力的でした。
ラベル:日記 日本映画
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2007年07月25日

『大仏破壊−ビンラディン、9・11へのプレリュード』

大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード (文春文庫 た 63-1)
高木 徹
文藝春秋 (2007/04)
売り上げランキング: 159874


 数字に弱いせいか、物覚えが悪いのか、かなり大きな事件が起こってもその日にちや、年、時間といったものが覚えられません。それでも、9・11は鮮烈に覚えているのです。深夜近くに報じられたテロのニュース。ビルに飛び込む飛行機の映像は流れるものの、詳細が伝わってこずになにがなんだか分からないまま、一人でテレビを眺めていたときのなんともいえない気分がよみがえってきます。

 そしておりしも、武装勢力タリバンによる韓国人拉致のニュース。
 日本ではすっかり、アルカイダもタリバンも過去の出来事のようになっているものの、こういうニュースを聞くとアフガニスタンは依然、混沌の中にあるのだと痛感させられます。

 この本は、大仏破壊がなぜ行われたのか、またそこに至るアフガニスタンの情勢と、タリバンの変容が、当時その地域にかかわったさまざまな人たちへの取材をもとにつづられます。
 読み始めてまず気づいたのは、アルカイダという武装集団と、アフガニスタンの内部勢力であり政権をとったタリバンとの区別が、自分の中ではすでに曖昧になっていたことです。もちろん、中東情勢をしっかり把握して一連のニュースを見た人も多かったでしょうが、自分は独裁的な政権=テロ集団と混同したまま、今もってアフガニスタンにきちんを目を向けていなかったようです。

 タリバンがどのような活動を経て政権を握ったか、指導者であるオマルという人がどんな人物だったのか。それらは思った以上に、真摯で情熱的で、穏和な印象すら感じさせるものでした。
 しかし、実際にはバーミヤンでの大仏遺跡が破壊され、アメリカ同時多発テロ、さらにはアフガン攻撃という最悪のシナリオをたどってしまったものはなんだったのか。
 ニュースの鮮度が薄れると、アフガニスタンへの関心も低くなる。対岸の火事が、火事の存在すら気にしなくなっていたことに、否応なく気づかされます。

 当時のタリバン政権内部の人や、国連など、多くの関係者の言葉と、著者の分かりやすい文章で、堅い印象でありながら読み始めるととまらなくなる興味深さです。

 今も、タリバン政権の指導者であるオマル師行方不明のままといわれています。果たして彼は、今のアフガニスタンをどう見ているのでしょうか?
 
 
ラベル:読書 高木徹
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2007年07月22日

映画『夕凪の街 桜の国』

『夕凪の街 桜の国』(2007年・日本)
 監督:佐々部清
 出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、堺正章、藤村志保


 非常に話題になった、こうの史代による同名コミックの映画化。

 前半の舞台になるのは、戦後の復興が進む昭和33年の広島。
 そして後半、平成19年。広島をめぐる旅でふたつの時代がつながってゆく。

 原作コミックは一度読んだだけですが、第一印象は原作のイメージを大切にしながら、丁寧で誠実につくられているなというものでした。

 特に前半、主人公である皆実(みなみ)が被爆による心の傷をかかえ、生きていたい、幸せでありたいと思いながらも、少しずつ死の淵にたぐり寄せられていく姿は涙なしには見られませんでした。

「原爆は落ちたんじゃない。落とされたんよ。だれかが死ねばいいと思って落とされたんよ。」と言った皆実。
 確かに事実ですが、一面的な見方に思えたし、そんなふうに考えたら自分がもっとしんどくなるのに、なぜそんなふうに考えるんだろう。それは、映画だけじゃなく、コミックを読んだときから感じていた違和感だったのかもしれませんが、なんとなくひっかかりを感じもしました。
 
 今の広島の街は当時とはすっかり変わり、目をこらさなければ原爆の痕跡など見あたりません。でも、当時は銭湯のシーンでも描かれていたように、当たり前に原爆を思い起こさせるものが日常的に存在していた。周りをみれば、ほとんどの人が戦争や原爆でなんらかの傷を負っている。そんな中で生きていたからこその、実感であり、幼くして被爆し、なにもない中で再び生き始めるための、皆実なりの必死の結論だったのでしょう。
 そう思うと、やっとひっかかりが薄らいだ気がします。

 前半でぐっと感情移入してしまったせいか、後半は思いの外淡々と見てしまいました。
 たぶん、20代にとって被爆世代は、親よりも祖父母世代のほうが多いという感覚が私にあるぶん、七波たちの年齢設定が気になってしかたなかったせいもあるでしょう。実際、物語を追いながら、登場人物たちの年齢を何回も足し引きしてました……。
 七波という現代の女性が、自分の過去を振り返るきっかけが、広島だったわけですが、そこに強い必然性のようなものは残念ながら感じられませんでした。
 後半にももっと涙を搾られるかと思っていたので、意外な気もしました。
 「泣ける」という惹句は嫌いですが、もう少し泣かせてほしかった気もします。

 とはいえ、原爆だけでなく、あの戦争で亡くなった多くの方々、そして苦しい時代を生き抜いてきた方々を思うきっかけになるであろう、誠実な作品であることは間違いないと思います。

夕凪の街桜の国
夕凪の街桜の国
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こうの 史代
双葉社 (2004/10)
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 劇中の広島弁、広島県人としては気になるところでしたが、みなさんお上手でした。もちろん、ところどころ違うかなと思うところはありますが、演じる方はずいぶん大変だったんじゃないかとお察しします。なかでも、打越役の吉沢悠さんはかなり自然な感じでした。強いていうなら、皆実を呼ぶときに「君」じゃなく「あんた」(←イントネーションは動物の「ラッコ」みたいな感じかな?)を使ってくれるとなおよかったかと。
 見慣れた風景がスクリーンに映るのは、なんだか不思議な気分でした。特に、市街地を(路面)電車が走る風景では、けっこう広島も都会に見えますね。
 
ラベル:映画 日本映画
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2007年07月16日

『香港の甘い豆腐』

香港の甘い豆腐
香港の甘い豆腐
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大島 真寿美
理論社 (2004/10)
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 母と二人暮らしの彩美。高校を留年しそうになったとき、母が起こした行動は思いがけないものだった。亡くなったと聞かされていた父親に会うために、夏休み、めったなことでは仕事を休んでくれない母が、香港へ行くと言い出した。父親が生きている、しかも香港で。香港の街に立ち、歩き、食べ、彩美の足が地に着いていく時間を追体験するようなお話。

 タイトルは前から見知っていたし、手にも何度もとってみたのですが、そこに“香港”という言葉が含まれているというだけで敬遠してきました。思い入れ強い場所がどんなふうに描かれているのか、つい身構えてしまうんですね。自分のイメージとずれていたりすると、気になって物語に身が入らないし……なんて考える必要もなかった。

 しばらく香港にホームステイすると、日本で待つ祖母に伝える彩美が使った言葉は「元気の渦」でした。そう、香港にはなんだか分からないけれど、とてつもなくエネルギッシュな力があった。うん、確かに「元気の渦」なのです。
 香港の街に初めて立つ、主人公の彩美。彼女が行く観光スポットは、ビクトリアピークとスターフェリーくらい。あとは、街中にあるジューススタンドで搾りたて生果汁を飲んで、雲呑麺を食べて、片言の広東語を覚えて。それだけなのに、どこからか力が湧いてくる。読んでいると、自分も香港をふらふらと歩いているような気になってきます。

 初めての香港。母親や、祖父母、学校という日常から抜け出せたとき、初めて周りの風景が色を持っていく。自分が知りたいこと、聞きたいこと、伝えたいことが見えてくる。忙しい香港の街は、親切に先回りして行き先を教えてくれたりはしない。自分のことは自分で。なにもない個人が、裸一貫で自分を形作っていく場所。
 主人公が少しずつ変わっていったように、読み終わったらちょっと元気が出てきたような気分になります。

 読み終わってから眠りについたせいか、この夜は香港でコンサートに行っている夢を見ました。なんだか無性に楽しい夢で、目が覚めてからもいい気分がしばらく続いたけれど、これも「元気の渦」のおかげ?
ラベル:読書
posted by あんく at 13:54| Comment(0) | TrackBack(1) | 著者別 あ〜か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月12日

『弥勒の月』

弥勒の月
弥勒の月
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あさの あつこ
光文社 (2006/02/22)
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 この著者に時代小説作品があるということを初めて知ったのが、つい最近。興味をそそられて早速、図書館で借りてみたところ、これがとてつもなく面白い!

 切れ者すぎるせいか、捕り方にやる気や情熱がないように見える同心の信次郎。信次郎の父である先代から手札を受けている、岡っ引きの伊佐治。
 ある日、妻に身投げされた小間物問屋の主である遠野屋の清之介から、事件の真相を探ってほしいと頼まれる。妻が身投げする理由がまったく見あたらないという清之介。ありきたりな事件の裏にあるものはなにか。
 果たして、信次郎と伊佐治はことの真実を突き止められるのか。

 同心の信次郎の飄々とした切れ者ぶりと、なにごとにもそつのない清之介。腹に一物も二物もありそうな二人の掛け合いが絶妙で、うまい漫才でも見ているよう。それを、横で肝を冷やしたり、頭に血を上らせたりしながら、見守る伊佐治の温かい目線でときに和んだり。

 後半で、その軽妙さとはうらはらに、思っていた以上に重い真実が明らかになっていくものの、辛い気持ちよりも先を読みたいという気持ちがまさって、どんどん読み進んでいきました。
 最後も、めでたし、めでたしとは決して言えませんが、それでも信次郎や伊佐治の働きが、なにかしらを変えることができたんじゃないかと思えるものでした。
 闇を背負って生きることの重さや、簡単にやり直せないしがらみというものは、これほどまでにしんどいものなのか……それと同時に、一筋の光だけで人は生きてゆけることもあるのだと思わずにはいられません。

 これから信次郎がどんな同心になってゆくのか、変わっていく様にしろ、変わらずにいる姿にしろ、その後を見てみたくなりました。

 ネットで他の方の感想を拾い読みしてみましたが、意外にも賛否両論という感じでした。個人的には衝撃的と言っていいほどの面白さだったので、大絶賛の嵐かと思っていたのですが……。
 やはり、時代小説というのは、どことなくとっつきにくさがあるんでしょうかね?
ラベル:読書
posted by あんく at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 著者別 あ〜か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月05日

映画『ジョゼと虎と魚たち』

ジョゼと虎と魚たち(通常版)

『ジョゼと虎と魚たち』2003年・日本
 監督:犬童一心
 出演:妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里、新屋英子


 長らく見たいなと思っていた作品が、期待していたとおりにいいものだったときの気分は心地いいものです。
 強烈な存在感を見せるジョゼとおばあ。ひょんなことから、彼女たちと知り合った恒夫との関係が淡々と、ときにおかしく描かれます。

 “こわれもん(壊れ物)”と言われながら、猫が見たい、花が見たい、だから散歩に行かなければならないと言うジョゼ。見たいもの、知りたいもの、ほしいもの、そして今いる場所がどこなのかがちゃんと分かっている彼女が、とても眩しく見えてきます。
 息をつめるように生きていたジョゼが、少しずつ水面に浮かび上がるように元気になっていく姿が、眩しい。特にラスト、彼女の姿は勇ましくて、力強くて、泣けてきました

 本編の余韻にひたりながら、そのまま一気に楽しんだのがコメンタリー。犬童監督と、主演の二人が撮影中の裏話や、その場面について感想を言い合ったり、ちょっと見るつもりが気づいたらエンドロールまで見直してました。
 犬童監督がしみじみ「いい顔だねぇ」とか、「この場面がいいんだよね」と映画愛を炸裂させている横で、役のときよりずっとほんわかして愛らしい語り口の池脇千鶴さん、そして優等生っぽいイメージだったけれど、素は意外に普通の若者だった妻夫木さん。
 こっちも必見(必聴?)。
ラベル:映画
posted by あんく at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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